『大正浪漫ラヴストーリー』 <第9話>
第8話へ⇐ 女中1 「はぁ、今日はなんだかいつも以上に疲れちゃったわ」 女中2 「けど、若旦那様があんなこと言ってくれるなんてね」 女中3 「驚いたわ」 女中1 「それもこれも、夏井さんのおかげかしら」 ハナ 「え……?…
第8話へ⇐ 女中1 「はぁ、今日はなんだかいつも以上に疲れちゃったわ」 女中2 「けど、若旦那様があんなこと言ってくれるなんてね」 女中3 「驚いたわ」 女中1 「それもこれも、夏井さんのおかげかしら」 ハナ 「え……?…
第7話へ⇐ 若旦那様はぽつりぽつりと紀美子様の過去を話しだした。 清人 「紀美子は幼い頃、体が弱かったんだ。そのせいもあって、家族は皆、紀美子を甘やかせた」 清人 「どんなわがままを言ったって、紀美子が元気…
第6話へ⇐ ハナ 「いつの間にか……外の景色が一変してる」 2階の廊下を掃除している時だった。 ふと、外を見るとそこから見える 庭の草花は姿を変えていた。 それは、季節が変わったことを 表していて……。 &…
第5話へ⇐ 直哉さんに連れてきたもらえたお店。 その中から出てきたのは……。 ハナ 「紀美子様……」 紀美子 「仕事中のはずよね?」 私と直哉さんを舐めまわすように見たあと、鋭い視線を向けてみ…
第4話へ⇐ トメ 「ハナ、ハナ」 ハナ 「は、はい! なんでしょう、トメさん」 トメ 「ああ、いたわね。 掃除はいいから、買い物に行ってもらえないかしら」 ハナ 「買い物、ですか?」 トメ 「ええ、若旦那様に頼まれていた…
第3話へ⇐ ハナ 「熱っ……!」 途端に顔へ降りかかった紅茶を拭い去る。 その時だった。 頭上から私は怒鳴りつけられたのだ。 紀美子 「何をするの!? 着物が紅茶でよごれてしまったじゃない!」…
第2話へ⇐ あの日、清人さん……松乃宮の若旦那様に連れてきてもらえたこのお屋敷。 早いことに、あれから数週間の時間が経っていた。 不安がってはいたけれど、あまりの目まぐるしさに全ての感情が吹き飛んでしまいそうな日々だ。 …
第1話へ⇐ ハナ 「あ、あのっ……!」 もごもごと、直哉さんの胸の中で声を上げると、頭上に柔らかな息がかかった。 直哉 「ハナちゃんが、あんまりにもいじらしくてさ。ついつい抱きしめちゃった。ご…
――文明開化と共に訪れた華やかな時代。 けれど、それはほんの一部の人間しか味わうことの出来ない世界。 夜毎ひらかれる舞踏会なんて、夢物語。 ほとんどの人間は貧困にあえいでいた。 学校にも通えず、貧しい農村で朝から晩まで畑…
第14話へ⇐ レストランの帰り道、彩さんと別れボンヤリと涼介のことを考えていた。 (涼介は彩さんの旦那が不倫してること知ってたから……私と浜本さんのことに口うる さかったのか……) 今まで抱いていた疑問が、解決しどこかス…
第13話へ⇐ 神妙な顔つきで、彩さんはグラスの氷を揺らしながら話し始めた。 「旦那がね……不倫してるの」 ドクンと胸が打たれた。 彩さんのその告白を聞いたとき、私は一体どんな顔をしていたんだろう。 「……出張っていうのは…
第11話へ⇐ 涼介のマンションに行った数日後。 ずっとメールのやりとりをしていた彩さんからランチの誘いがあった。 (涼介からはしばらく彼女のフリしろって言われてるし……) 彩さんとのメールは楽しい。周りの友達に食器集めが…
第10話へ⇐ 「それにしても、良かったわ。彼女の話なんて全然しないから。真央さんのように素敵 な彼女がいて、母さん嬉しい」 場の空気が和み会話が弾む。 誰も、私が彼女のフリをしているなんて気がついてなくて。 罪悪感は拭え…
第9話へ⇐ 「まっさか姉さんも来るとは思わなかった」 両親たちを招き入れた涼介は上機嫌に笑いながら言った。 「ごめんなさいね、涼ちゃん。彼女がいるのに私までお邪魔しちゃって」 セミロングのその人は、どうやら涼介のお姉さん…
第8話へ⇐ 私の家とは違うインターフォンの音に違和感を覚えながら、涼介の家の玄関先に立つ。 同期で入ったはずなのに、涼介のマンションは私のアパートよりはるかに立派だった。 「ああ、ちゃんと来てくれたんだね?」 玄関を開け…