【愛の代償(第11話)】一緒に遊びに行くだけなら・・・

【愛の代償(第11話)】一緒に遊びに行くだけなら・・・

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「それにしても、良かったわ。彼女の話なんて全然しないから。真央さんのように素敵
な彼女がいて、母さん嬉しい」

場の空気が和み会話が弾む。

誰も、私が彼女のフリをしているなんて気がついてなくて。

罪悪感は拭えないままで、だけどご両親やお姉さんとの会話を楽しんでる自分もいた

「あら、真央ちゃんも食器好きなの?」

「はい!お姉さんもですか?」

会話の内容はコロコロ変わる。天気の話をしたかと思えば仕事の話。

そうかと思えば今度は趣味の話。

どうやら、お姉さんは私と同じで食器を集めるのが趣味らしい。

思わぬ共通点を見つけ、私たちの会話に花が咲く。

「キッチン雑貨とかを眺めるのも好きなの」

「あ、私もですよ!」

「まぁ、真央ちゃんとは話があいそうね」

「はい!お姉さんとこんな話が出来るなんて嬉しいです」

「そんな堅苦しい呼び方しないでちょうだいよ。彩って呼んで」

彼女のフリだなんて自分の立場を忘れるほどに、話が盛り上がってしまう。

隣では涼介が苦笑していた。

「ずいぶん、話盛り上がってるね?」

「ふふ、ごめんなさいね。涼ちゃん放ったらかしにして」

「ま、いいけど。真央さ、もし休みの日とか都合ついたら姉さんと出かけてやってくれ
ない?」

「え?」

(さ、さすがにそれはマズい……。もし彩さんと二人で出かけたりなんかしてボロでも
出たら……)

なんて私が考えてる間にも、涼介と彩さんは出かける計画を練り始めている。

「姉さんさ、土日は基本的に暇なんだよ。旦那が出張で」

やけに「出張」を強調するような言い方。

彩さんを見ると、少し視線を伏せて静かにコーヒーを飲んだ。

「でも、やっぱり悪いわ。涼ちゃんたちだってデートしたいでしょ?」

「俺らは会社でも顔合わせてるし。な? 真央」

「っ!?」

ぐいっと頭を引き寄せられ、涼介の肩に乗せられてしまう。

お母さんは顔を赤らめて、お父さんは呆れて……彩さんは微笑してこちらを見た。

「涼ちゃん、真央ちゃんのことちゃんと幸せにしなさいよ?」

「もちろん。今はまだお互いに仕事が忙しいけど結婚も考えてるから」

「は!?」

「真央、驚きすぎ。この前だって結婚式場の案内もらってきたでしょ?」

「え!?あ、そ、そうだったね!」

慌てて話をあわせると、彩さんが柔らかな笑い声を漏らした。

「真央ちゃんておもしろいわね」

「うん、退屈しないよ。あ、そだ。せっかくだから連絡先交換しておけば?一緒に遊
びに行くなら知ってた方がいいだろうし」

一度は否定した彩さんだけど、この場で連絡先を交換しないのもなんとなく気まずく
て……私たちは互いの連絡先を教えあった。

「それじゃあ、そろそろ帰るとするか」

「ええ、そうね」

ご両親と彩さんはそのまま立ち上がり玄関へと向かった。

(と、とりあえず……今日のところはこれで誤魔化せたかな)

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