【愛の代償(第15話)】不倫なんて、ドラマの中の話だけだと思ってた・・・

【愛の代償(第15話)】不倫なんて、ドラマの中の話だけだと思ってた・・・

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レストランの帰り道、彩さんと別れボンヤリと涼介のことを考えていた。
(涼介は彩さんの旦那が不倫してること知ってたから……私と浜本さんのことに口うる
さかったのか……)
今まで抱いていた疑問が、解決しどこかスッキリしていた。

もし、浜本さんが既婚者だったら?

私がしていることが不倫だったら?

一人歩く帰り道、そんな疑問が浮んでは消えていく。

(今……確認してみようかな)

足を止めた私はバッグから携帯電話を取り出した。

さすがに、電話をかける勇気がなくてメールのアイコンを押す。

(浜本さんて既婚者ですか……ううん、これじゃあ直接過ぎるか)

途中まで入力したメールを一気に消す。

文面を考えるため、何気なく周囲を見渡せば夕方の道路は混んでいた。

レジャー帰りの家族や、デートの帰りなのか恋人たちの姿も。

(車でデートなんて、したことないか……)

バーかレストランかホテル。

三年付き合って行った場所はそこだけ。

愛は盲目なんて言うけど……考えてみれば違和感を覚える私たちの関係。

真っ白なメール画面を見て、ため息をついてしまう。

涼介に初めて既婚者だって知らされたときから比べると、私の中での浜本さんに対す
る疑惑は格段に大きくなっている。

彩さんの話を聞いたから、余計。

不倫なんて、ドラマの中の話だけだと思ってた。

まさか、こんな身近に不倫の被害者がいるだなんて……考えたことも無かった。

(浜本さんが既婚者だとしたら……悲しんでる奥さんがいるってこと……だよね)

「はぁ……」

自分でも驚くほど、大きなため息を付いてしまった。

(早く、確かめないと)

そう携帯電話を握りしめた。でも、文章が何も思い浮かばなくて……。

そのとき、ふいに信号待ちの車が私のすぐそばで止まった。

別に、見ようと思って見たわけじゃないんだけどふいに視線を横にすると、その運転
席に知った顔を見つけた。

カツンと音がした。私の手からすり抜けた携帯電話だ。

だけど、とてもそれを拾えるような状況じゃなかった。

私のすぐ近くに停止したその車、ハンドルを握るのは紛れも無く浜本さん。

その隣には、私より若そうな、派手な格好をしている女の人が座っていた。

信号待ちだからか、浜本さんは助手席のその人に触れながら楽しそうに会話をして、

そうして……。

二人はキスをした。

⇒次回更新をお待ちください

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