(2)黒髪ロングの白装束はもう古い!幽霊の姿はやはり多様化しておるぞ【芦屋道顕】(ページ2)

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バックナンバー:(1)幽霊はなぜ皆が長い黒髪で白装束?

さて、発端はスタッフが見つけたこのツイートであるが、

実際に幽霊らしき存在に出逢うたことがあるわしとしては、江戸時代の幽霊画やリングの貞子のような典型的な幽霊はなかなかおらぬ。

わしの祖父などはもしかすると歴史的な霊障の現場では遭遇したことが一度くらいはあるやもしれぬが、平成生まれのわしは皆無じゃ。

■幽霊の多くは「生前の一番自分らしい姿」で出てくる

まず、幽霊として姿が見えても、特に問題のない、生者に害を為すことのない者もいる。それらはたいてい、特に盆の時期に本当にこの世に一時的に戻ってくる身内の霊である。

その場合、愛しい娘息子や孫たちに「おじいちゃんだよ、おばあちゃんだよ」と分かるように、そして決して怖がらせぬように、家族も覚えている馴染みの服装や死に別れた年齢の姿を見せようとする。

まだあの世の者がよく視える7歳未満の子供、特に生死の意味が分かっておらぬ子供であれば、長らくいなくなった祖父祖母と久々に会えたとしか思えぬほど、生前と変わらぬ姿と態度を見せるはずじゃ。

ゆえに、祖父の幽霊が黒髪ロングであろうはずがなく、昨今のちょいワルじじいが幽霊となったなら、ゴルフ焼けした褐色の肌に若い頃から続けていたカラーリングの茶髪に、イタリア製の高いスーツに身を包んで現れることもありうる。

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そして、己の父母を亡くし、あの世の存在すら信じず墓参りすら行かぬような我が子の前にも姿を現わすこともある。その場合、顕在意識の支配が緩むが、起きてから記憶もあるうたた寝時や起床直前の夢の中に現れるであろう。

この場合の夢は過去の記憶の再生ではなく、あの世からの来訪者あるいはむこうからの霊界通信なのじゃな。

■幽霊の姿は生前の人それぞれ

そして、身内の前に現れるわけではない、なぜその姿を留めているのか分からぬ霊も、多様な姿を見せてくれるものじゃ。過去に己が遭遇した霊は、いずれもはっきりしてはいなかったが、モヤモヤとしてもある程度その個性が分かる服装をしておった。

取り壊しビルの元々ダンス教室だった空きテナントでは、胸元がかなり露わな社交ダンスの衣装を着たかつての先生らしきおばさまが視えたこともあれば、古びたアパートの一室ではパンツ一丁の中年男が死んだことに気付かず眠りこけていた。

幽霊となった者が生前の一番良い時代の姿を見せることもあれば、特に未練を残しているわけでなく単に死んだと気付かぬ場合はごくごく普段着で居続けることもある。

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これも例えであり、実際には魂はそこにはないゆえ、本来ならば害のないもので、地縛霊として生者に襲いかかることもなく、年月が経てば誰かの香水の残り香が薄れてついには消えるように、消えてしまうのではあるが。

■不幸な死に方で恨みを残す霊は怖がらせるためあえて怖い姿で現れることも

しかし、一番問題なのはやはり不幸な死に方をした者が幽霊として現れたとき、どのような姿をしているか、であろう。

単に死んだことに気付かず彷徨っている(実際には、魂はこの世にはすでになく、彷徨っているのは魂魄の「魄」のほうであるが)霊体、あるいは死んだと分かっていてその死に方に納得が行かず誰やらを恨み探し回る霊体の姿は、皆がホラー映画やオカルト番組で見かけるような恐ろしい姿であろう。

前者、死んだことに気付いていない霊であれば、車に跳ね飛ばされたまま、そのまま彷徨うて人を驚かせるやもしれぬ。遭遇した人への恨みはなかろうて、気にするものではない。

しかし殺されるなどで恨みを残している霊は、血まみれ、顔が潰れた状態、海に沈められた者はずぶ濡れの姿を、たとえ己を死に至らしめた当人ではなくとも、とにもかくにも無差別に見せ付けることもあろう。

その場合も、やはり死んだ当時の姿で出てくるゆえ、実にバラエティに富んだ姿となる。ショートカットに短パン姿で死んだ少女が、黒髪ロングで出てくることはない。やはり、ショートカットで短パンを履いておろう。

いずれにせよ、どのような姿の幽霊でも愛しき身内や愛した誰やら以外とはあえて遭遇したいものではなく、万が一赤の他人の霊と遭遇してしまったならば、関わりを持たず逃げ去るのが安全じゃぞ。

*魂魄については過去記事参照:「霊」には2種類あるのじゃぞ!【知られざる「魂魄」】


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