四柱推命における五行のバランスの見方について2(ページ2)

四柱推命における五行のバランスの見方について2

前回の「四柱推命における五行のバランスの見方について1」においては、命式全体の五行のバランスの見方について、基本的なことをお話ししました。

今回は少し発展して、隣合った柱同士の関係による、五行のバランスの強弱についてお話ししましょう。

 

五行思想は、東洋におけるエネルギー循環を示すものです。木、火、土、金、水、の五気が世界を循環し、そして形作っています。西洋占星術におけるエレメントの関係と言っていいでしょう。(エレメントとは、世界を構成するエネルギーを火、土、風、水の4つの元素に分類する考え方です。西洋占星術においては12星座の分類にも使用されており、その人の性質や相性、運勢を表す1つの基準になっています。)エレメントと同じく、五行にもまた相性があります。この相性により、命式のバランスが変わってくることになります。

 

例えば、次のような二つの命式があるとします。()内は天干と地支(蔵干)の五行です。

年柱:丁酉(火・金)
月柱:己酉(土・金)
日柱:辛酉(金・金)
時柱:壬子(水・水)

年柱:壬子(水・水)
月柱:己酉(土・金)
日柱:辛酉(金・金)
時柱:丁酉(火・金)

二つの命式は、年柱と時柱が入れ替わっただけです。根の数も月令も変わりません。ですから一見五行バランスは同じに見えます。一見して金が多すぎる命式ですね。しかし、ここで五行の相性が関係してきます。

 

ここで、各五行の相性について説明しましょう。五行には、相生と相剋、という考え方があります。ある五行はある五行を生じさせ、ある五行はある五行を剋す(壊す)という考え方です。

■相生と相剋について

■相生と相剋について

相生と相剋について分かりやすく書くと、以下のようになります。

 

<相生>

木は燃えて火を生じる。火は灰になって土を生じる。土は地中から金を生じる。金は冷えて水を生じる。水は植物を芽吹かせ木を生じる。

 

<相剋>

木はその根で土を剋する。土は堰き止める力で水を剋する。水は消化し火を剋する。火は鉄をも溶かし金を剋する。金は斧となり木を剋する。

 

また、木にとっての火のように、生むものと生まれるものの関係にある五行について言うと、生まれる五行は生む五行のパワーを弱める働きがあります。この場合は親と子の関係であり、破壊的な作用ではない穏やかな作用として、力を「漏らす」関係性と呼ばれます。つまり、火は木を漏らし、土は火を漏らし、金は土を漏らし、水は金を漏らし、木は水を漏らす作用があることになります。
剋は破壊する方にも負担がかかるので、他の凶の気を強める作用があるのでなければ、たとえば上記の命式のように金気が多すぎるから減らした方が良いというようなときには、剋する作用の火の気を用いるよりも漏らす作用をしてくれる水を用いた方が良いということになります。

 

さてここで、二つの命式の違いについて見てみましょう。各柱の相生、相剋を図解すると、以下のようになります。

年柱:丁酉(火・金)
相生↓
月柱:己酉(土・金)
相生↓
日柱:辛酉(金・金)
相生↓
時柱:壬子(水・水)

年柱:壬子(水・水)
相剋↑
月柱:己酉(土・金)
相生↓
日柱:辛酉(金・金)
相剋↑
時柱:丁酉(火・金)

 

上の方の命式は、各柱が相生関係にあり、地支に金が多すぎることを除いては、命式中の気がスムーズに流れていることが分かります。また、日柱の金気を時柱の水が漏らしていますから、強すぎる金を軽減させる救いになっています。大運などで金や金を強める土が強まる時期は要注意ですが、それを除けばそこまで悪いことにはなりません。

 

一方、下の方の命式は、離れているとはいえ金を漏らす役目をしてくれる年柱の水(壬)が、月柱の土(己)に剋され、力を弱体化させられています。その上、時柱の火(丁)が日柱の金(辛)を剋しているため、日柱がきつい思いをすることになります。日柱は自分自身です。その自分自身が命式中で悪い剋されかたをすると、人生においても辛いことが多くなります。時柱は子供や晩年示すので、子供との関係性があまり良くない人生になるか、晩年に辛い思いをしがちな人生になる可能性があります。

特に、ここに示された丁が辛を剋する関係は、火焼珠玉(かしょうしゅぎょく)と呼ばれ、極端に悪い剋関係の一つです。相手からきつく剋され、必要以上に臆病になり、いつも何かに怯えながら過ごすことになったりします。もし大運などで強すぎる火が回ってきた場合、体力もなく病気がちになり、肺や腸の病気にかかりやすい傾向にあります。ストレスやプレッシャーから、病的なレベルで食事をするパターンもあります。腸の病気になりやすいのはそのせいもあるでしょう。

ただ、上記の下の命式の場合、金気がとても強いため、剋であってもないよりもましな状態にあるとも言えます。

 

このように、ただ年柱と時柱を入れ替えただけであっても、相生と相剋の関係性次第で、全く別の命式になり、全く別の人生を歩む結果につながるのです。(だからこそ時柱が大切であり、出生時刻が大事になってきます。)五行のバランスを考える時には、必ず隣り合った柱同士の五行の関係性を考えましょう。