五行のバランスから相性を占う~通根について~

五行のバランスから相性を占う~通根について~

命式全体の五行の力量をはかるにあたっては、前回の「五行のバランスから相性を占う~月令について~」でご説明した「月令」と、それを更に詳細にした「通根」という考え方があります。

「通根」とは、書いて字のごとく「天干から地支にかけて根が通る」ような状態を指します。つまり、天干の五行と地支が含む五行が通じるということです。
子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥の十二支には、一応の五行が割り振られています。一般には子と亥が水、丑・辰・未・戌が土、寅と卯が木、巳と午が火、申と酉が金ということになっていますが、これだけではなくもっと細かく分かれています。

例えば、壬は水の干ですが、もし地支に、水の支である子や亥があれば、この壬は「通根している」ということになります。「根がある」という言い方をすることもあります。
根っこの強い木がなかなか倒れないように、根のある天干はそのぶん力が強くなります。浮草のようにふわふわと定まらなかったエネルギーが実体を得て、明確な力を持つことになります。

具体的にどういうことかというと、根のある天干はその天干そのものの性質が強いというだけでなく、他の干を剋したり助けたりすることもはっきりとできるということです。また、他の干からの剋を受けても、簡単には損なわれない力を持っています。

そして、通根の中でも最も強い影響力を持つのが、月柱の地支が通根する場合であり、特に日柱の天干に月柱の地支が通根することが、前回お話しした「月令を得る」ことになるわけです。

なお、「日干に通根した場合の五行の力量」の強さは、
月柱の地支に通根 > 日柱の地支に通根 > 時柱の地支に通根 > 年柱の地支に通根、
という順番になります。

■「根がない」とはどういうことか

逆に、地支に天干の五行と同じ気を含むものがない場合は、天干は「浮草のようにふわふわと定まらない」ものとなります。これを「無根」「根がない」状態と言います。
根がない天干は、命式中の力量がその分弱く、他の干への相剋や相生などの作用も限定的です。

特に日干に根がない命式の場合、何かと年運や月運に翻弄されやすく、波乱に満ちた人生を送りがちです。
日干などの命式中の天干のうち、どの天干が地支に通根しているかを見ていくと、どの天干が命式中で強い力を持っているのか、その天干の力が弱いのかが見えてきます。

具体的にどの干がどの地支に通根するかと言えば、諸説ある形にはなりますが、おおむね下記のようになります。

甲・乙が通根できるのは、卯と寅
丙・丁が通根できるのは、午と巳と未
戊・己が通根できるのは、午と巳と未と戌と辰と丑
庚・辛が通根できるのは、酉と申と丑と戌
壬・癸が通根できるのは、子と亥と丑

丙・丁と戊・己が通根できる地支の組み合わせが似通っているのは、火と土は「火土同根」と言って、同じ根に通根できる性質を持っているからです。
丑は一応土に分類されますが、ちょっと特殊で、ほとんど水に近い性質を持っています。
前回の月令のお話で、「旧暦の月変わりの日から9日目までは、土の気よりも丑は子と同じ気(つまりは水の気)の方が強い」ということを書きましたが、特に2月3日~2月11日生まれの人の場合、月柱の地支の丑は水の性質を持っていると考えた方が良いでしょう。

■月令と五行のバランスから見る身強・身弱

これまで、月令と通根についてお話してきましたが、それらを総合的に見て、日干の強さを見ると、以下のようにまとめられます。それぞれの強さに応じて、相性の良い命式の人がどういう人なのかも見ていきましょう。

<極身強>
月令を得ていて、日干を助ける天干(印綬・偏印・比肩・劫財)や地支が2~3個以上ある場合。
強すぎる場合、生半可に弱めるとかえってよくないので、日干を強める五行を日干に持つ人と相性が良い。日干を弱める五行を日干に持つ人とは相性が悪い。
日干が木であれば水か木、火であれば木か火、土であれば火か土、金であれば土か金、水であれば金か水の人が吉。

<身強>
月令は得ていないが、日干を助ける天干(印綬・偏印・比肩・劫財)や地支が2~3個以上ある場合。
日干を弱める五行を日干に持つ人と相性が良い。日干を強める五行を日干に持つ人とは相性が悪い。
日干が木であれば火か金、火であれば土か水、土であれば金か木、金であれば水か火、水であれば木か水の人が吉。

<身弱>
月令を得ているものの、日干を剋したり、漏らしたりする天干(官星・排星)・地支が2~3個以上ある場合。
日干を強める五行を日干に持つ人と相性が良い。日干を弱める五行を日干に持つ人とは相性が悪い。
日干が木であれば水か木、火であれば木か火、土であれば火か土、金であれば土か金、水であれば金か水の人が吉。

<極身弱>
月令は得ておらず、日干が通根しておらず、日干を剋したり、漏らしたりする天干(官星・排星)・地支が2~3個以上ある場合。
弱すぎる場合、生半可に強めるとかえってよくないので、日干を弱める五行を日干に持つ人と相性が良い。日干を強める五行を日干に持つ人とは相性が悪い。
日干が木であれば水か木、火であれば木か火、土であれば火か土、金であれば土か金、水であれば金か水の人が吉。

ただし、干合・支合など「合」があると、月令や通根の作用は薄れることになりますので、合がある命式については慎重に判断する必要があります。
ちなみに上記にあてはまらない人は「中庸」タイプで、五行の偏りによる相性自体がありません。