四柱推命における五行のバランスの見方について3

四柱推命における五行のバランスの見方について3

前回は、五行のバランスは単純に五行の量だけでは測れず、相生と相剋の関係性次第で良くも悪くもなることについてお話ししました。

その際、剋にも特に悪い剋があるというふうに説明しましたが、今回はそういったことについて詳しくお話ししましょう。

 

■強すぎる干を抑えている干への剋

ここで、前回の「四柱推命における五行のバランスの見方について2」において扱った命式について例を挙げて見てみます。

年柱:庚申
月柱:己丑
日柱:壬子
時柱:乙巳

 

記事で触れたときには、この命式は、日柱の水が根を3つ持っており、特に月令を得ているので水が非常に強い命式であるということを説明しました。
この命式に、■「四柱推命における五行のバランスの見方について2」のように相生、相克関係を加えると、以下のようになります。

年柱:庚申
相生↑
月柱:己丑
相剋↓
日柱:壬子
相生↓
時柱:乙巳

命式のバランスを見る時には、日柱を中心に考えますので、主に壬子について見ていきます。
これを見ると、日干の水(壬)は土(己)から剋され、乙(木)によって漏らされます。
このため、水が強すぎるこの命式は、外部からの調停が入り、強すぎる自分自身にブレーキをかけることができるようになります。

ただ、己は田んぼの柔らかい土であり、壬は海や大河ですので、堰き止めるのは無理があります。
ですから、本当は強すぎる壬に対しては、同じ土でもしっかりとした大地や山である戊の方が良いと言われています。

 

また、壬に対して己は、後述する己土濁壬(きどだくじん)という組み合分わせになり、凶意が強くなってしまうと言われています。

ですから、この命式の人は、大運で戊が来た時に、社会的評価も高まる状態にありました。
実際に、戊運の時には、学生時代でしたが校内で成績一位になったり、全国大会で優勝するなど、華々しい活躍をしていました。

 

しかし、それはあくまで大運の戊が健全に働いていた状態においてです。
大運とは四柱推命において、10年ごとに切り替わる大きな運気の流れのことを言いますが、それとは別に、毎年切り替わる1年ごとの年運があります。

その年運において、戊を剋する甲が来たときは、この命式の方は、ひどいいじめに遭い、自殺まで考えるような状態になってしまいました。

校内で成績トップ、全国大会で優勝するような強い運の持ち主ですら、そんな精神状態にしてしまうのです。
この方の場合は、戊の大運の地支が子だったため、元々3つあった水の根がさらに増えてしまい、それこそ濁流状態だったのを堰き止めていたのが戊でした。

その戊が木によって剋されたというのは、荒れ狂う濁流を堰き止めていたダムが決壊するようなものでした。
このように、忌になる干を抑えている干への剋は、時として激烈な結果を生むよくない剋になってしまいます。

■特定の「特によくない組み合わせ」の剋

前回の「四柱推命における五行のバランスの見方について2」で火焼珠玉について述べたように、剋の中でも、特によくないとされる組み合わせがいくつかあります。
この組み合わせを持っていた場合は、凶意が出やすい生まれということになりますので、注意した方が良いでしょう。
今回は、前回説明した火焼珠玉以外の、特によくないとされる剋関係について説明します、

基本的に、日干が隣り合った干から剋される場合について挙げています。

 

<乙を辛が剋す場合(白虎昌狂)>

かなり強い剋であり、相手から狂ったように一方的に剋される意味合いがあります。
臆病気質の人が多く、病的なほどに自分を律し、悪い出方をすると自分の殻に閉じこもり、全く自分の意見が言えず辛い思いばかりをすることになります。そのくせおおらかに構えていることができず、心配性で精神的に不安定になりやすい面があります。

 

<丙を癸が剋す場合(黒雲遮日)>

丙は太陽であり、非常に強い干ですが、唯一苦手とするのが、この癸の雨雲です。
雨降りの日の太陽のように、一方的に剋され才能が発揮できません。
自分が納得いかなくても、上司や目上に対して服従しなければならず、ストレスをためやすくなります。月柱に癸が出ている場合、特にその傾向が強くなり、抑圧傾向が出る可能性もあります。

 

<壬を己が剋す場合(己土濁壬)>

干関係の中でも、特に悪いとされる組み合わせです。壬は水であり、己は田んぼの土なので、二つが混ざり合うと泥水になってしまいます。
水を日干に持つ人は、基本的に知性的で判断能力に長けますが、己が混ざるとこの知性や判断力に濁りが生じます。
結果的に、誤った判断をしがちになり、上司に対して馬鹿にしたような態度を取ったり、不倫や横領、窃盗など、「気の迷い」を言い訳にしがちな悪事に手を染めやすくなります。