「不運」を「強み」に変えるためのホロスコープ(ページ2)

前回までは、太陽と土星がハードアスペクトを取っているところに、更に土星がハードアスペクトを取った場合にどうなるかというお話をしていきました。

自分自身を示す太陽に、忍耐や重圧を示す土星が生まれながらにハードアスペクトを取っている人は、基本的に苦労人です。
生まれたときから苦労や忍耐というものが隣人のようにそばに付きまとっている状態の人だからです。

ホロスコープには「ネイタル」と「トランジット」という考え方があります。
「ネイタル」は生まれたときの星の配置を示します。その人が生まれながらに持っている運勢と言えばいいでしょうか。
「トランジット」は、今現在の星の配置を示します。今現在の運勢ですね。

四柱推命もそうなのですが、ホロスコープや四柱推命は、生まれたときの運勢と現在の人生を総合してその人というものを見ていきます。
「生まれたときのホロスコープ」であるネイタルは、その人の人格そのものです。例えば自分自身を示す太陽が土星などの重い星からプレッシャーを受けていれば、その人は物心ついたころから忍耐や苦労と隣り合わせの運命をたどることになります。

SNSなどでは「毒親の呪縛」という表現でが語られたりしますが、人格形成期に受けた重圧は、生涯その人の行動を縛り付けることになります。三つ子の魂100まで、とも言いますね。
ですから、生まれたときのホロスコープである「ネイタル」は、運勢を見るうえでもとても重要なのです。
ネイタル次第で、同じ星がトランジットでアスペクトを取った時でも、辛さがまったく違う形で出たりします。

<生き方次第では凶星も「強み」になる!>

さて、先ほども書きましたが、自分自身を示す太陽と土星がハードアスペクトを取っている人は、生まれながらに忍耐や苦労が付きまとう人です。

別に土星に限ったことではなく、太陽や月と言ったその人自身に関わる星(この二つの星をライツ天体と言います)がアスペクトを取っている星の影響というものは、生涯を通してその人に深く関わってくるものです。

人間が生まれながらに持っている運勢というものは、残念ながら存在します。
「この人って何かと運が悪いなあ」と思う人に出会ったことが、誰しもあるのではないかと思いますが、何十年も運の良くない感じの運命をたどってきている人は、生まれながらのホロスコープの星配置自体が苦労を伴うものなのでしょう。

では、そういう生まれの人が少しでも幸福な人生を歩むためにはどうすればいいか?

生まれたときから吉星(ベネフィック天体)である木星や金星の恩恵を受けている人は、言ってみればイージーモードでゲームを進めている人です。そういう人たちのことを、最初からハードモードが決定している人がうらやんでもどうしようもありません。
必要なのは、恵まれた状況の他人をうらやんだりやっかんだりすることではなく、与えられた状況をいかにうまく乗り切っていくか、凶星(マレフィック)と呼ばれる星から受けるエネルギーを、いかに良い方向に転換させていくかということです。

マレフィック天体としては、火星、土星、天王星、海王星、冥王星が挙げられますが、これらはどれも扱いが難しいためにマレフィック扱いになっている天体です。
マレフィック天体のエネルギーは絶大です。だからこそ扱いにくく、扱いにくいからこそ凶星として位置づけられています。しかし、使い方次第ではそのエネルギーは自分自身を高める方向性へと変えうるものであり、人間的成長をもたらしてくれるものなのです。

そもそも、ベネフィック天体やマレフィック天体といった考え方自体が、生き方というものを選べなかった中世の古い価値観の下にあるものです。ベネフィック天体の優しく寛大なエネルギーの下にある人は、確かに人あたりが良く面倒見がよく、組織の下で発展していくには良いエネルギーを持っています。大昔の貴族社会から連なる現在で言えばホワイトカラーと呼ばれる大企業の中では、そういう人たちの方が重用されるでしょう。その点では、吉星はやはり吉星です。

しかし、現在はいくらでも自分自身の生き方が選べる時代です。組織から離れ、一人で社会と渡り合っていく経営者やフリーランス、今では子供たちの憧れの職業の一つに数えられるユーチューバ―などは、ベネフィック天体のような優しい星配置だけを持っていても成功できません。

こういった尖った感性が必要な職業の人たちが成功するには、マレフィック天体によるプレッシャーが必ず必要になってきます。

とはいえ、マレフィック天体とのハードアスペクトもただ持っていればいいわけではなく、良い方向性に導いていけるような訓練や意識付けが必要になってきます。

次回は、こういったマレフィック天体とのハードアスペクトを抱えている人生や状況下において、どういった心がけをすれば凶のエネルギーを良い方向に転換できるかも含め、マレフィック天体との付き合い方を見ていきましょう。