失恋から立ち直るのは難しい
失恋って、つらいですよね。
直後はもちろん、時間がたって思い出しても悲しかったり、モヤモヤしたり、心がズキズキと痛むものです。
失恋から立ち直るために、カラオケで泣きながら歌うという人もいますが、過去の先人達は失恋のモヤモヤを和歌によんでいました。
数ある恋を歌った名作古典のなかでも、現代でも共感できてしまう、荒ぶる失恋ソング(和歌)を集めてみました。
今も昔も・・とにかく涙
・氾濫する川より泣いてます
つれづれの ながめにまさる 涙川 袖のみ濡れて あふよしもなし/藤原敏行(ふじわらのとしゆき)|古今和歌集
意味→ずっと降っているこの長雨で氾濫した川みたいに、いやそれ以上の涙が川となり、ただ袖だけが濡れて、逢う手だても見つかりません。
失恋した直後は、誰でも泣いてとほうにくれてしまうものなんですね。
・もう恋なんてしないなんて言えない(涙)
つれなきを 今はこひじとおもへども 心よわくも おつる涙か/菅野忠臣(すがののただおむ)|古今和歌集
意味→自分を相手にしてくれない人など、もう恋い慕うまいと思うけれども、やはり、悲しくなって涙が流れる。
ゆれる失恋心は時代をこえて共感をよんでしまっています。
・泣かなきゃやってらんない
君恋ふる 涙しなくは 唐衣 胸のあたりは 色もえなまし/紀貫之(きのつらゆき)|古今和歌集
意味→あなたが恋しくて流すこの涙で何とか消さないと、唐衣の胸のあたりは赤く燃え上がってしまいそうだ。
ケガをしているわけでもないのに胸を攻め立てる、あの失恋の傷みは今も昔も共通なんですね。涙が癒してくれるのもまた同じのようです。
泣いて少し立ち直ってきた和歌
・次(の恋)いこっ!次っ!
相思(あいおも)わぬ 人を想うは 大寺の 餓鬼のしりへに ぬかづくがごと/笠郎女(かさのいらつめ)|万葉集
意味→実らない片思いなんて、餓鬼(地獄で死体をあさる下っぱの鬼)をあがめるみたいにばかばかしくて醜いことだ、もうやめよう!
悲しみが落着いてきて、相手や自分に対する怒りがこみあがってきたのでしょうか、そんな時もあります。にしても、自虐しすぎですね。
・時間って流れてくもんよね(しみじみ)
松の葉に月は移りぬ黄葉(もみじば)の過ぎるや君が逢うはぬ夜の多き/池辺王(いけべのおほきみ)|万葉集
意味→もう何か月もたって、松の葉にさす月の位置も移り、もみじの葉みたいにぱっと去って行ったあなたに逢わない夜がずいぶん経ちました。
失恋時の最強の味方は、やはり時間薬ですね。
なんにしても歌は失恋に効く
失恋はつらいですが、傷ついた想いを涙や、歌などの芸術表現で表に出すという作業を経る事で、人生経験という心の栄養にしていけます。
悲しい時は、おもいっきり泣いて、カラオケでも和歌でも俳句でも叫んで発散してしまいましょう。