彼女の作ったチョコレートを一口食べると、不思議なことが起こる。
とっても、不思議で癒されるものがたりです。
厳格なカトリック教徒である村長レノー伯爵(アルフレッド・モリーナ)が統率しているフランスのとある村。
伝統と格式を重んじて、閉鎖的な環境のため、人とちょっと違う人は白い目で見られてしまうのです。
そんな村に、どこからかやってきた主人公ヴィアンヌ(ジュリエット・ビノシュ)が、チョコレートショップをオープンします。
ふしぎなことに、彼女の作ったショコラを食べると、人々の人生が変わっていくのです。
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アルマンド(ジュディ・リンチ)は、娘と仲たがいしていて、孫とも合わせてもらえない状況。
ジョゼフィーヌ(レナ・オリン)は、夫の暴力に耐えていますが、もう限界。精神を病みかけています。
ギョーム(ジョン・ウッド)は、オデル(レスリー・キャロン)を愛しているのだが、何十年も挨拶しかできない。
人々の好みのチョコレートを当てて、それを食べてもらうと、その人の人生が変わっていく。
食べた人は、みな、自分の欲望がはっきりと分かり、それをかなえる行動を起こし始めます。
そうすることによって、心が癒されていくのです。
人の幸せをかなえるために、労力を惜しまないヴィアンヌですが、彼女自身は、それで幸せなのでしょうか。
ひとつの場所に長く留まらず、多くの人を助けてきたヴィアンヌ。
彼女の母親も、ヴィアンヌを連れて旅を続けていました。
母親が亡くなった今も、遺灰と共に旅をしています。
不思議なチョコレートを食べて、人々に幸せになってもらうという宿命を負っているのです。
娘のアヌーク(ヴィクトワール・ティヴィソル)は、もう放浪生活はやめて、この村にずっと居たいと母親に訴えています。
「なんで、普通の生活ができないの?」と。
北風と共に新しい村に行かなければならない宿命とはいえ、ヴィアンヌは母親の呪縛に囚われているようにも見えます。
そんなとき、村に突然、船で現れたジプシーの集団。
村長も、村の人々も、ジプシーなど大嫌いなので、あからさまに排除してきます。
同じ境遇のヴィアンヌは、なんとか村人とジプシーたちを交流させようと考えます。
このジプシーの船長ルーをジョニー・デップが演じているのですが、ジプシー役がピッタリはまっていて、とってもかっこいいのです♡
ギターを弾いたり、壊れたドアを直してくれたりと、ヴィアンヌといい雰囲気に。
ジプシーと村人のパーティを成功させた夜、みんなを寝かしつけてから、ヴィアンヌとルーは、二人っきりで過ごすのですが、これがまた最高にロマンティックです。
テントを乗せた小舟の中で二人で過ごすのですが、思わずキャーって叫びたく
なるような素敵さなのです。
しかし、ある事件が起こり、二人の素敵な時間は、つかの間で終わってしまうのでした。
ヴィアンヌは、新しい場所へ旅立とうとアヌークをむりやり起こすのですが・・・
不思議なチョコレートを食べると、人々の人生が変わっていくというファンタジックなストーリーですが、この映画を観ていると、とっても不思議な気持ちになります。
自分も魔法にかけられたような不思議な感覚におちいるのです。
自分を変えるって大変なこと。
敵視された状況の中で、自分を貫くことも。
ヴィアンヌのようにはできないけれど、自分なりに愛する人たちを癒していきたいと思わせる映画です。
ヴィアンヌとアヌークは、この村でどうなっていくのか。
そして、ルーとの関係はどうなるのか。
チョコレートを片手に、映画を観れば、より効果があるかもしれません。
自分の中の何かが変わるかも。
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「ショコラ」2000年公開作品。ラッセ・ハレストレム監督