新年度も始まり、新生活を始めた方々も多いと思います。
それに伴って、環境の変化、人間関係の変化など、様々な不安はつきもの。「そんな時にはやはり神頼み!」なんていう方も多いのではないでしょうか?
「困った時の神頼み」とはよく聞きますし、ついやりがちですが、ちょっと待って下さい!
「神社は神様にお願いするところ」、「初詣や参拝は願い事をかなえるためにするもの」だと思っていませんか?
そこで、今回は神社参拝のおさらいと、お願い事をしていいのか、それとも悪いのかをお話したいと思います。
◎神社参拝に際して注意したいこと
●参道の中央はなるべく歩かない
伊勢神宮での参拝などでよく言われることですが、参道の中央は神様がお進みになる道です。
私たちは両端のどちらかを歩くようにしましょう。
※拝礼の際も中央を避けるのがよいのだそうです。
●鳥居の前で軽く一礼
鳥居は人間界と神様の領域(結界=けっかい)を区切るために設けられているのだそう。
ですので、神様の領域に入るときは鳥居の前で軽く一礼し、またこの領域を出るときにも鳥居をくぐった後、軽く一礼するのがよいとされています。私たちの日常生活でも他人の家に入るときにお辞儀などの会釈をするのと同様に考えると理解しやすいかと思います。
●手水舎での作法と注意事項
参拝をする前に、参道の脇にある手水舎で身を清めますが、はじめに汲んだ水のみですべての動作を終わらせましょう。順番は以下のとおりです。
①柄杓(ひしゃく)で水をすくい、まず左手を洗う
②柄杓を持ち替えて右手を洗う
③もう一度柄杓を右手に持ち、左の手のひらに柄杓の水を受けて、その水で口をすすぎます。すすぎ終わったら使った左手も洗う
④柄杓に水を入れて縦にしながらその水で柄杓の柄を洗う
※「柄杓に直接口を付けて水を口に含まる」、「柄杓の柄を洗わない」などはマナー違反です。
●拝礼時は二礼二拍手一礼
伊勢神宮では四礼八拍手一礼と言われていますが、一般の参拝者は、通常の二礼二拍手一礼でいいのだそう。
※ただし、出雲大社・宇佐神宮・弥彦神社は二礼四拍手一礼なので注意しましょう。
◎神社参拝でのお願い事はアリか?ナシか?
古くからの言葉にこのような言葉があります。
「神は人の敬(うやまい)によりて威を増し 人は神の徳によりて運を添う」
神様に「ありがとうございます」と感謝をし、神様を尊敬する人が多いと、私たちは神様の徳によってご加護を得られるということです。
パワースポットブームで神社参拝をする若い人も増えましたが、そもそも神様を尊敬する様子のない方や願い事だけを伝えても、その効果は得られないということなのです。
確かに様々な祈祷・祈願はしてくださいます。ただ、お願いするだけでは神様のお力添えは得られないと思ってよいでしょう。
では、どうするのか?
神前で願をかける時には、はじめての際には必ず自分の氏名・住所を申し上げ、参拝できることを感謝しつつ願い事や決意表明をするとよいとされています。
しかし、私はそうではなく、ただ、「今ある自分自身の身の丈を持って、参拝できたことに感謝する」だけでも、十分神様には伝わると思うのです。
何も神様は神社だけにとどまっているわけではありません。私たちの知らないところで、本人にとっていいことも悪いことも静かに見守ってくださっています。
楽しく、満たされているときも、どんなに辛く、苦しいことがあっても、この世で生きていられることそのものが「ありがたい」ことなのです。
そして、神社に訪れて参拝することは、そんな自分でも生かしてくださっている事実にお礼を申し上げに行くことなのだと思っています。
先に書いたように、各神社では祈祷や祈願もして下さいますし、現在は自由参拝なので願掛けするのも、個人の自由ではあります。
ただ、古くからの言葉に近い、私の考えとしては「神社参拝でお願い事はナシ」なのです。
色々と思いを募らせて、ついお願い事をしがちですが、次に神社へ参拝に行く時はちょっと視点を変えて、「当たり前のことが、当たり前であることへの感謝」を伝えてみませんか?