初恋と呼ばれる年齢も過ぎると判る事といえば。
好きなだけじゃ恋愛はダメなんだ
という事。
それが恋をしている間は判らない。
1つの恋が終わって初めて気づく。
恋愛映画の金字塔『ビフォア・サンライズ』などで知られる
イーサン・ホークの自伝がベースとなった映画が、この映画。
『ビフォアシリーズ』でも恋愛に迷える主人公を演じた彼ですが、
実生活での彼はどうだったのかが垣間見えます。
お互いを思いながらすれ違っていく男女を描いたこの映画。
どの様なストーリーなのでしょうか。
21歳の僕は誰でもない君に恋をし
所はNY
21歳の若手俳優のウィリアム（マーク・ウィーバー）は、
行き着けのバーでシンガーソングライター志望の女性・サラ
（カタリーナ・サンディ・モレノ）に出逢う。
偶然にも彼女はウィリアムのアパートに引っ越してきたばかり。
美人でもスリムでもない、でも彼女の人間味に急速に
惹かれていくウィリアムがそこに居た。
サラのアパートで、じゃれあい、
そのままセックスにもつれ込みそうになる二人だが、サラは拒む。
サラはウィリアムを実家の母・ガルシア（ソニア・ブラガ）に
紹介するが、ガルシアの表情は浮かない。
ウィリアムは母娘の漏れ聞いた会話から、サラが付き合っていた
彼氏の浮気が原因で大学まで辞めざるを得なくなった事を知る。
そこでウィリアムは、自分の映画の
撮影旅行にサラ誘い、彼女の気分を晴らそうと提案する。
誰も二人を知っている人間が居ないメキシコで二人は
結ばれ、のめりこむ様に恋に落ち、そのまま二人は、
結婚にゴールインするはずだった・・・
本当に好きな人の事は理解して
撮影を終えNYに戻ってきたウィリアムとサラ。
ウィリアムが、のぼせていたのに対しサラは冷めていた。
バンド仲間と練習を再開し、歌手になる為に目標に向かい
邁進するサラと、恋しか見えていないウィリアム。
『貴方は何をするにも大げさなのよ』
『僕が何をしたっていうんだ？』
『私を本当に好きなら理解して』
唐突の事で理解出来ないウィリアムは自暴自棄になり、
元カノのサマンサ（ミシェル・ウィリアム）を
寂しさのあまり呼び出すが、その軽さに空しさが増してしまう。
自分の誕生日に母ジェシー（ローラ・リニー）の元を
訪れると母は新しい恋人を作っていた。
ウィリアムが小さい頃に家を出て行った父・ヴィンス
（イーサン・ホーク）にサラの事を相談しても
消えない古傷もあると言うだけ。
何故サラはウィリアムと距離を置こうとしたのか・・・
相手に振り回される恋愛は本当の恋愛じゃない
何故サラはウィリアムの元から去っていったのでしょうか。
この映画がウィリアムの視点から描かれているので、サラが
どう思っていたのかは描かれていません。
サラは癒えなかった自分の失恋の傷を癒す友達として、
ウィリアムが居たと思っていたかもしれません。
ウィリアムは、傷ついたサラにとって何か魅力的な
存在に映ったのでしょう。
なのにウィリアムが、一方的にのめりこんできたから、
距離を置いた、とも考えられます。
映画の中のウィリアムは、サラに対して突然人間関係の
距離感を縮めだします。彼の行動からは
僕が君にしてあげる事は、君が100%喜ぶ事だよね。
というある種の傲慢さすら読み取れます。
だからサラはNYに帰ってきた時に彼に
(人間関係の距離感が）大げさよ、といい、私の事を
少しでも理解しようとする思いやりがあったなら、
こんな事にならないと思う、と心の悲鳴をぶつけます。
サラ自身、ウィリアムの行動から彼が
恋愛経験はそれなりにつんできたと豪語しても、
その中身がいかに軽薄なものだったのかは
判っていたのでしょう。
その証拠にウィリアムは元カノのサマンサは
ウィリアムに対し
『セックスのない貴方なんて考えられない』と言います。
そこでウィリアムは初めて自分の恋愛遍歴が
今までいかに軽々しく身勝手なものだったかを
思い知らされるのです。
この映画のウィリアムとサラを見て判る事は何でしょうか。
それは
好きという感情の押し付けでは恋愛は成立しないという事
イケイケドンドンで押してくる男は最初は貴方の目に
魅力的に映る事もあるかもしれない。
でも付き合って時が過ぎて、こんな面が見えてきたら要注意。
僕が君にしてあげる事は、君が100%喜ぶ事と空回りして喜ぶ男性。
それは過去の恋愛遍歴を無駄にしてきただけの人。
貴方の今傍らに居る恋人はそうでしょうか？
痛い程、君が貴方が好きなのに、思いが伝わらない理由の
ヒントはこの映画の中に隠れていると思います。
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