私たち日本人に馴染み深い和食。日頃から私たちは和食を食べている分、食事をする際に正しい作法で美しく食べるということを、あまり意識していない方は多いのではないでしょうか。
料理のジャンルに関わらずいえることですが、テーブルマナーとは「ともに食事する相手への心づかいのあらわれ」です。予約時間を守る、香水は直前につけないようにする、大きな音を立てて食べないように気をつけるなど……。
それらの最低限のマナーの他に、和食には「あなたを品が良く、美しく見える食べ方」があります。
すこし知っておくだけで、あなたの和食の食べ方もより美しく見せることが出来ます。
今回は、それぞれのお料理をより美しくいただくコツを集めました。早速、チェックしていきましょう!
お寿司は、ネタをくるんでいただく
寿司は本来、素手でいただくものですが、箸がついてきた際には箸を使っていただきます。箸を使っていただく際には、シャリ(酢飯)がポロポロと落ちてしまわないように注意しましょう。
ネタに醤油をつけることは、ご自身のお好みで構いません。ただ、シャリに醤油をつけてしまうと、寿司がほどけやすくなってしまうので気をつけて。
大ぶりのネタがのったお寿司をいただく際は、ネタとシャリを分けて食べましょう。シャリを半分に分け、ネタでくるんでいただくようにします。
また、お寿司やお刺身についてくるわさびは、あくまでも辛味をつける香辛料。いただく際には、お寿司やお刺身の上にわさびを少しだけのせて醤油をつけます。
器に盛られたわさびをとり分ける際には、鍋物同様、箸は逆さにせず直に取ります。なぜならば、お箸を逆さにするということは、手で触れた箇所がわさびについてしまう可能性があるから。
「どうしても気になる……」という方は、お店の方から取り分け用の箸を用意していただくのがベター。お寿司やお刺身についてくるハジカミ(しょうが)は口の中をさっぱりとさせる効果があります。ツマ(大根)もお好みで大葉でくるんでいただきます。
天ぷらは、淡白なものから味の濃いものへ
実は、天ぷらにはいただく順番が決まっていることをご存知でしたか?
天ぷらは、白身魚などの淡白な味のものが手前、そして味の濃いものが後ろに盛り付けられていることがほとんど。
ですから、天ぷらをいただく際には盛り付けを崩さないよう、手前に盛り付けられた淡白な味の天ぷらからいただくようにしましょう。
天ぷらに天つゆをつける際には、器に口を近づけず、天つゆの器を持って一口ずつ天ぷらをつけるようにします。箸でちぎれる天ぷらは、お皿の上で食べる大きさに切り分けましょう。歯ごたえがあって噛み切りにくい食材の場合、一度口につけたものを盛り付けてあったお皿に戻すことはマナー違反にあたります。天つゆの器を持ち、最後までいただきましょう。
串物は「クシを抜いてから」いただく
焼き鳥やつくね、味噌田楽といった串に刺さった料理が出てくることがあるかもしれません。
美しくいただくポイントは、「いただく前に、串から具をすべて外してしまう」こと。
串を外す際には左手で串を持ち、箸を持った右手で料理を外します。(左利きの方の場合は、左右逆の手で構いません)
具材が熱いうちに行うと外しやすいのですが、(冷めてしまっている場合など)串から外しにくい場合には、串をくるくると回しながら行うようにしましょう。
ごはんは「品のいい量」だけよそう
ご自身で、ご飯をよそう際には器に対して7~8分目の量にしましょう。
ご飯を山盛りに「枕飯」といってお供えのときに使われるものなので、あまりエレガントには見えないので気をつけて。
ご飯は向かって左側、汁物は右側に配置します。ご飯を食べ終わり、手に器を持ったままおかわりをすると、あまりエレガントには見えません。
おかわりをいただく際には、一度お椀をテーブルに置いてから、改めてお椀を持ち直すようにしましょう。
汁物のフタ、正しく扱えていますか?
お味噌汁やお吸い物をいただく際、お椀のフタの置き方について困ったという経験がある方、案外多いのではないでしょうか。
お椀のフタがなかなか取れない際は、お椀の縁を軽く握るようにしてみてください。すると、お椀のフタが少し浮きあがってくるので、フタが外れやすくなります。無理に引っ張ろうとしてしまうと、中身をこぼしたり、器を傷つけてしまったりする可能性があるのでご注意を。
さて、皆さんは開けたあとのフタはどちらに置いていますか。
フタの内側には蒸気の水滴がついており、ポタポタと落ちてきます。蒸気は、器の中に落としてしまって構いません。
水滴を落としたら、水滴がついていた側を上にして、お椀かお膳の右側に置くようにしましょう。食べ終わったあとは、(いただく前と同じように)お椀にフタをし、お膳の右側に出します。
「食べ終わったことが、わかりやすそうだから」という理由で、フタを逆さまにして戻す方がいらっしゃるかと思います。ですが、この場合もお椀を傷つけてしまう可能性がありますので控えましょう。
座布団の座り方も少しだけ意識をして
お座敷で食事をする際には、座布団にも少しだけ意識を向けましょう。
座布団には前と後ろ、おもて面と裏面があることをご存知でしたか?
縫い合わせのない側を前、そして締め糸の房がついている部分を表にして使います。座布団に座る際には、下座側から座流ようにします。そして、席を立つ際も下座の方向へ降ります。
座る場所はあらかじめ決められているもの。
招かれている人は、座席の位置を変えることや座布団を動かすことは控えましょう。
また、和室では、畳のへりや座布団を足で踏まないように気をつけて。