『病院の花嫁~愛の選択~』<第6話>~松宮ルート~

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あの家から、とうとう逃げ出してしまった。

もう後戻りできない。

 

松宮
「痛む場所ない?怪我してるのに随分と無理させたな」

美咲
「うん、大丈夫」

美咲
(無理をさせたのは、私……)

 

ついさっきまでいた華やかで豪華なあの屋敷は、私にとって深い洞窟のような暗闇

牢獄だった。

そこから救いだしてくれたのは、ずっと忘れられず想いつづけた初恋の人、松宮浩太。

こんな夢みたいな幸せが舞い降りてくるなんて……。

それなのに、不安で不安でたまらない。

あの家で感じた闇より、もっと深い闇に落ちていく

そんな気さえする。

 

松宮
「絶対に、後悔させない」

 

この人についてきた事を、私は決して後悔しない。

でも……。

この人は、いつか自分の行いを後悔する、そんな想いが私の心を支配していた。

午前中の診察を終えた惣一朗が、妙に明るい調子で理事長室の扉を開けて入ってくる。

 

惣一朗
「診察終了後、松宮先生が挨拶まわりをすると聞いていたのですが、姿が見えないんですよ」

芳恵
「惣一朗……」

惣一朗
「こちらに顔を出していませんか? 看護師が花束を用意して玄関で待っているんですが」

 

受話器を手に話す芳恵の顔面は蒼白だった。

 

芳恵
「今、鈴恵から電話があって…
あの女、とんでもない事しでかしたわよ」

惣一朗
「美咲が?美咲に何があったんだ!?」

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