【芦屋道顕】猫は異界の生き物(4)死んだ愛猫が異界から救ってくれた【真夏の怪談】

(3)の続きじゃ。

バックナンバー:猫は異界の生き物

■異界で魔物に取り込まれそうになった少年たち

……「あれ、ここはどこだ?」暗闇の恐怖に足がすくみ、立ち尽くした3人は異様な気配を感じたそうじゃ。暗闇にいくつか、赤や黄色の目が光っており、奇妙な笑い声が聞こえる。どうも、慣れ親しんだ近所の神社の裏手とは思えぬ、どこやら分からぬ空間で異形のものに取り囲まれていると感じたそうじゃ。

さらには、彼らそれぞれに「こっちへおいで」「一緒に行こう」「私の子になるか」「遊ぼうよ」などと話しかけてくる、確実にこの世のものではない妖(あやかし)がいたそうじゃ。

さらには、少年の腕を骸骨の手のようなものがつかみ、友人の足には蔦のようなものが絡み出して、このままではここから逃げられなくなる、と3人とも思うたそうじゃ。

黒髪の少女の正体は?

しかし、少年が骸骨の手を恐怖で固まりふりほどけずにいたところ、どこからともなく黒髪の少女が現れ「この子たちはだめ」と誰かに語りかけ、骸骨の手をそっとどけてくれたそうじゃ。

少年が驚いてその少女を見ると、少女は少し怒った顔をして「なんでこんなところにいるの。危ないから、早く帰って」と、言って、彼らの少し前を歩き始めた。

気付くと友人の足元の蔦も外れていて、もう一人も恐怖で金縛りにあったように動けずにいたのが、動けるようになった。ほかの「一緒に行こう」などの不気味な声とは明らかに違い、

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