美咲と看護師数名が、夜勤から日勤への引き継ぎミーティングをする。
美咲
「306号室の田中さんの発熱が治まり快方に向かっています。106の大蔵さん、深夜に胸の痛みを訴え、当直の岡村医師が処置し治まりました。明後日、退院予定の204号室の佐藤さんの食欲が落ちているのが気がかりです」
婦長
「夜勤からの引き継ぎ事項を心に止め、今日も一日、誠心誠意、患者さんの看護にあたりましょう。夜勤勤務の方、お疲れ様、早く帰って体を休めなさい」
部屋を出て行こうとした私を、婦長が呼び止める。
婦長
「築山さん」
美咲
「はい?」
婦長
「勤務が終わったら、程ほどにして帰りなさい。明日は日勤でしょ?」
美咲
「はい、お疲れ様です」
一礼して、美咲が出ていくと婦長はため息をついた。
婦長
「と言っても、あの子には無理でしょうけど……」
窓の外をみると、久しぶりのいい天気。
そうだ、まず太田さんの所に顔を出そう。
雨だと傷口が疼く気がする。早く晴れてほしいと言っていた。
私は太田さんの病室へ急いだ。