今日は、久しぶりに、恵美とデートをする事になった。
たまたま取れた休日だった。
仕事に忙殺される事は、仕事が無かった時に比べれば、光栄なことだけれど、いざそうなると、なかなか大変なものだ。
今回のデートは、多少なりともこの間の合コンの件で、罪の意識を感じているから、俺から切り出した。
悟
「温泉じゃなくてごめん……。なかなか、まとまった休みを取るのは難しくてさ」
恵美
「いいのよ。仕事だもの。でも、私の相手もきちんとしてよ。悟さんの奥さんなんだからね」
悟
「わかってるよ。時間があるときは、できるだけ、一緒にいるようにするから」
恵美
「そうしてね。さて、今日は、なにを買ってもらおうかな?」
俺たちは、県外にある、ショッピングモールに来ていた。週末というだけあってか、敷地内は、多くの人で賑わっていた。ほとんどが家族連れで、子供もいる。俺たちには、子供はいない。
その話題に関しては、お互い意識してか、口に出さないようしている。
恵美
「ねえ、なんでも買ってくれるのよね?」
悟
「なんでもって言っても、誕生日でもないんだから、そこら辺は考えてくれよ」
恵美
「わかってるわよ。じつは、ずっと気になってる靴があるの。まだ、置いてあるかはわからないけど、一緒に見てくれる?」
悟
「ああ、いいよ」
そう言って、三階建ての建物の二階の中央辺りにある、女性靴専門の店舗に連れて行かれた。