ロマンス小説『engagement~誓い~』<第8話>

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バルコニーに出ると、ひやりとした夜気が肌を撫でた。

イリス
(さすがにつかれちゃったな)

 

一休みしようと伸びをすると、夜の闇に紛れた辺りでのそりと影が動いた。

 

イリス
「し、失礼いたしました……!」

 

イリス
(人がいるなんて思わなかった。恥ずかしい……)

 

???
「いや、こちらこそ。驚かせてすまないな」

 

影が闇から光の辺る場所まで出てきた。

その顔には、見覚えがなかった。

ガタイがよく、ほどよく日焼けをしていて、最初の印象はまるで熊。

眼帯をしており、左目しか見えないが眼光も鋭く、こちらの気持ちまで見透かされてしまいそう。

 

イリス
(ゲストの方の顔と名前は一通り覚えたつもりだったけど……)

 

イリス
「まだ、ご挨拶をしておりませんでしたね。イリスと申します」

???
「知ってる。あんた今夜の主役だろ。俺はアルジルだ」

 

イリス
(アルジル……? そんな名前リストにはなかった……)

イリス
(アルジャン様に伝えたほうがいいかしら……)

 

私はちらりと大広間に視線を走らせた。

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