イリス
(これが、婚約パーティーの招待客リスト……)
イリス
(爵位の高い人ばかりだわ)
さすがにこのお客様たちを相手にホストを務めるのかと思うと、緊張してしまう。
イリス
(気持ちが滅入りそうだったから、庭に出てみたけれど……)
せっかくの美しい庭も、婚約パーティーのことを考えると、気もそぞろだ。
イリス
(こんなに立派な人たちの前で婚約発表をしちゃったら、やっぱりやめる、というわけにいかないよね……)
自分にはもうこの道しか残されていないのだろうと思いつつも、決めかねる気持ちがやはりある。
イリス
(でも、街にたどり着くことさえ出来なかった私が、ここを出て生きていけるのだろうか……)
私は深いため息を漏らした。
???
「かーのじょ、なにか悩みごと?」
イリス
「きゃあっ!」
突然、背後から肩を叩かれて、思わず大きな悲鳴を上げる。