『密会・セレブと呼ばれた女―栄光と欲望の裏側―』<第10話>

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パーティのお手伝いが終わった夜。お屋敷からの帰り道で、食事に誘われた。

 

真野
「あんただって腹減ってるだろ? メシ、食いに行こうぜ」


そう言って連れて来られたのは、いかにも庶民的な居酒屋……。

というよりも、ガード下の飲み屋さんに近い焼き鳥屋だった。

カウンターの隅にテレビが置かれ、店主が見るともなしに眺めている。

 

紗希
「ここ……?」

真野
「なんでだよ?」

 

逆に聞き返されてとまどってしまう。

 

紗希
「こういうお店って、普段なじみがないから」

 

とまどいながら答えると、ああ、そうかと初めて気づいたようにうなずいた。

 

真野
「だよな。女同士じゃこんな店には来ないか」

真野
「この店、安い割にけっこう旨いんだ。おごってやるよ」

 

慣れた様子で席に着き、メニューを開く。そんな真野さんに私は……。

 

紗希
「いいの? ありがとう」

 

素直にお礼を言うと、真野さんがおかしそうに笑う。

 

真野
「お前さぁ、ちょっとは遠慮とかしないわけ?」

紗希
「……え」

真野
「ま、いいや。そういう素直なとこも、別に嫌いじゃないから」

紗希
(……え?)

 

深い意味はないとはわかっているけれど、ドキッと胸が鳴った。

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