やがてパーティの日がやって来た。
遥香
「今日はよろしくお願いね。主賓は私の夫なの。誕生日なのよ」
準備のため、早めに屋敷を訪ねると、美しく着飾った遥香さんが出迎えてくれる。
真野
「……加々美社長のお誕生日なんですか。それはおめでとうございます」
そつなく受け答えする真野さんに、私も慌てて頭を下げる。
遥香
「じゃあ、もうすぐお客様が見えるから、それまでに準備をお願い」
遥香
「玄関のチャイムが鳴ったらモニターで相手を確認して、ロックを解除してちょうだい」
遥香
「パーティが始まったら、お料理とお酒はふんだんに出して」
遥香
「キッチンにあるものなら、何を使ってもかまわないわ」
そう言い残すと、遥香さんはメイクを直してくると部屋に戻って行った。
真野
「この前はなんだか険悪な雰囲気だったのに、旦那の誕生日パーティなんかやるんだな」
肩をすくめた真野さんと、パーティの準備に取り掛かる。
やがて、玄関からチャイムの音がした。