人気モデルと実業家が暮らす加々美邸
その玄関に一歩足を踏み入れたとたん、目を疑うような光景が広がっていた。
紗希
(何これ……ゴミ屋敷!?)
真野
「いくらなんでも……これはひど過ぎるだろ……」
広いはずの玄関は、脱ぎ散らかされたパンプスやブーツが山積みで、
その隙間に男物の革靴やダイレクトメール、傘やスリッパが見え隠れしている。
際にはゴルフバッグ、車の部品のようなもの、ほこりが積もった雑誌や新聞紙……。
その周りには圧倒的な量のゴミ、ゴミ、ゴミ……。
真野
「どこで靴を脱いで上がればいいんだ? そもそも靴は脱がなきゃいけないのか?」
真野さんがつぶやくのももっともで、
元々はフローリングだったと思われる床は黒ずみ、足の踏み場もないくらい、モノが散乱している。
紗希
(これが加々美遥香の自宅?)
紗希
「嘘でしょ……」
思わず漏らした声に、真野さんがため息でうなずく。
真野
「……だよな。それにこんな家でパーティしようなんて、どうかしてる」
茫然とその場に立ち尽くしていると、奥から軽い足音が近づいてきた。