立川先生、松宮先輩、睨みあってる場合じゃないわ。
人命救助が第一なのに、どうなってしまうの?
惣一朗
「松宮先生と言いましたね、状況を把握せず先走った行動は慎んで下さい、先に6名の患者が搬送されオペに入っています、ギリギリの状態なんです」
松宮
「失礼しました」
惣一朗
「築山さん、状況聞いて」
美咲
「はい、状況は?」
救急隊員
「倒れてきた鉄柱の下敷きになり胸腹部圧迫、共に意識レベル200」
美咲
「倒れた鉄柱で胸腹部圧迫、共に意識レベル200です!」
惣一朗
「二人とも緊急オペが必要だな、だが、先に搬送された骨盤骨折のオペが、出血も少なく意識もはっきりしているが卵巣損傷があって」
松宮
「卵巣動脈が破裂したら厄介だ。後回しにできませんね」
院長
「私も加わろう」
受話器を手に、振り返ると院長先生が立っていた。
美咲
「院長先生!」
院長
「血管破裂のない骨盤骨折ならブランクのある私でも可能だ」
惣一朗
「築山さん、受け入れて!」
院長先生のオペは2時間程で終わり、立川先生、松宮先輩のオペは8時間以上要した。
その他の医師が担当したオペも全て成功し、うちに搬送された患者は全員救われた。
私たちが帰っても、先生達はまだ帰れそうにない。
松宮先輩と一言、話したかったのに……。
一度も目が合わなかった。
私を忘れてしまったの……?