■憑依の可能性etc.芦屋道顕のバックナンバーはこちら
ここまでは、まるで自らの意思のようでいて、実は憑依した妖に操られて好みや思考が変化する例を挙げてきたが、それらは魑魅魍魎や霊の嗜好が反映したものであり、彼らの憑依の主目的は「未練を解消するために、生きた人間の身体を借りる」である。
ゆえに、憑依期間が長くなればやはり危険も増すが、おいそれと命まで奪われるようなことは起きにくいものであった。
しかし、今回紹介するような怪我、事故などの霊障を起こす妖は人間の身体を求めてはおらず、人間に危害を加えその命を奪うことを目的にしているため、放っておくと危険である。
■小さな怪我も短期間に度重なれば要注意
まず、やつらはいきなり大きな災いは起こせないゆえ、標的の身体の細部を害することから始める。そして、その危害は最初はたまたま運が悪かった、己が不注意であったと気にも留めないようなことなのじゃ。例えば、足の小指を家具の角にぶつける。手指にトゲが刺さる。打撲する、何もないところで躓き、膝を擦りむくなど。
その怪我単体であれば本当にただ運が悪かっただけやもしれぬ。しかし、悪意ある存在の憑依によるものの場合は、
怪我したあと、その箇所が腫れる・化膿する・熱が出る
憑依を疑わずとも、やはりトゲを刺したあとで腫れ上がってきたならば、何らかの感染症の危険があるゆえ病院に行くのは必須であろう。そして、小さな怪我は現代医学の世話になればたいがいは治るはずじゃが、憑依の場合は一つの怪我が治っても、