百人一首の「女子共感率」は異常

百人一首の「女子共感率」は異常

百人一首というものをご存知ですか?

百人一首とはまあ簡単に言えば、「暗記が必要なカルタ」です。
普通のカルタとは違い、読み手が上の句を読み、取る側はそれと対になった下の句の書かれた札を取ります。
つまり、暗記していなければ、上の句が読み終わるまで取れません
これが百もあるのですから、学校で行う百人一首大会などはもう諦めてお汁粉だけ食べに行った人も多いはず。

わたくしサラは、何故だか知りませんが弓道や茶道をやっていそうとよく言われたり、過去のブログでも度々「殿方」「アベック」などという単語を用いてはッコまれ、以前出会った面接官には「昭和の女」と評価される等、無駄に日本人であることに誇りを感じていると見せかけてパン派の女です。
然るに、百人一首にも私はなぜか興味を持ち、そんなに速くは取れませんが、だいたい上の句を言われたら下の句がなんとなくわかる程度になりました。
(余談ですが、百人一首を覚えるならDSのソフトがオススメです)

 

 

 

感動の気持ちや、情緒あふれる季節や風景を、歌として美しくまとめた百人一首ですが、そんな百人一首、実は恋の歌が四十三種と最も多いんです。
そして、流石は昔の歌人たちといいますか、その内容もハッとするほど
言いえていて多くの女性が共感できるようなものもかなりあったりします!

 

ぜひ、今回紹介する三種を読んで、センチメンタルな気分になっていただけたらと思っております。
めざせヤマトナデシコ!

君がため 惜しからざりし 命さえ
長くもがなと 思ひぬるかな

 

歌意…
あなたに逢う為なら死んでも惜しくないと思っていた命までもが、あなたにお逢いできた今では、いつまでも長生きしてあなたに逢い続けたいと思うようになったことだ。

要約…
あの人に会えるなら死んでもいい!とか思ってたのにー、マジ矛盾っていうか。死んだらもう会えないじゃん?好きすぎて今度は死ぬのが怖い。ずっと一緒にいたい。ヤバイ。

 

 

この歌、ほんとに「わかる!」って思いませんか?
主観で恐縮ですが、この歌は恋と愛の違いを巧みに表現しているように思います。
恋する男女にはありがちなんですよね、あの人の為なら死ねる!っていう感情。
それが時を経て、見事交際がスタートし、互いに心を許しあってからは、漠然と「消失への恐怖」に変わっていくことと思います。

「別れるのが怖い」「死ぬのが怖い」「あの人の為にも死ねない」などとキリの無い事を考えては、「愛は人を弱くする」なんていう結論がはじき出されたりしたこともあるのではないでしょうか。

でも、愛は確かに日常生活ではデメリットもあるかもしれませんが、いざという時、ほんとにピンチの時には最も強い武器になるということを心に置いておいて下さい。
必ずあなたの力になります。

忘れじの 行末までは かたければ
今日を限りの 命ともがな

 

歌意…
あなたがいつまでも忘れまいとおっしゃるそのお言葉を、遠い将来までたのみにはしがたいので、そうおっしゃってくださる今日が、私の命の最後の日であって欲しいことです。

要約…
彼氏がー、アタシのことめっちゃ好きって言ってくれるんだけどおー。
健くんマジ顔いいじゃん?今は好きって言ってくれててもこの先わかんないじゃん?
だったらさ、今朝言ってくれた愛してるーみたいなコトバとかをみんな心にしまって、今日もう死んじゃいたい。愛されたまま死にたい。ヤバイ。

 

 

とても切ない歌ですよね。逢いたくて逢いたくて震えるような気持ちが伝わってきます。

当時の歌人たちは、まぎれもなく私よりはるかに女子力が高いです。
きっとこの歌のお相手も、この女性の事を心から大切に思っていたはずですが、やはりどうあっても女性の不安は留まるところを知りません。
好きになればなるほど、余計な心配も増えていきます。

恋人との仲が不安なら、電話やメールで、唐突にこの歌を送ってみてはいかがでしょうか。
きっと恋人も、「え、どうした?」といろんな意味で心配してくれるはずです。

忍ぶれど 色に出でにけり わが恋は
ものや思ふと 人の問ふまで

 

歌意…
誰にも気付かれないようにと、切ない思いをしてじっと心の内に秘めてこらえてきたが、とうとう顔色に出てしまったことだよ、わたしの恋心は。
誰かに恋して物思いをしているのかと人がたずねるほどに。

要約…
うわー…うわー。ヤバイマジ恥ずい。
絶対バレてないかと思ってたのに、「恋してるでしょ」とか言われはじめた。完璧ポーカーフェイスだったのに。
アタシそんなニヤニヤしてた?なんでわかったん?見んな知ってるん?なあ、カエデ?これみんな知ってるん?あんたなんでわかったん?スゴイ。ヤバイ。

 

 

 

絶賛片思い中!なんて方。この歌に心当たりがあるんじゃありません?
今も昔も変わらないですね。とても人間味がある歌です。
ちなみにこの歌の作者は男性なのですが、恋する男ってとても魅力的じゃありませんか?
高校生男子が「どうしよう俺知らず知らずニヤニヤしてるっぽい」とか言ってたら、和むでしょ?
作者のピュアな心が伝わってくるようです。

ちなみに、この歌が読まれた場は「歌合(うたあわせ)」の場です。
歌合とはつまり、歌人が左右に分かれ歌を読み、その優劣を競うというものです。
そうです。みんな聞いてるんです。なのに読んだんです。開き直っちゃったんですかね。

ちなみにこの対戦相手の歌もまた秀逸で、なかなか勝負がつかなかったそうです(結果この歌が勝ちましたが)。
ちなみにその対戦相手の歌の内容は、「俺こっそり恋してたのにもう噂が広まっちゃったよ」というものです。
暴露しあってます。修学旅行か。
なんにせよ、百人一首には珍しい「現代にもありがちな平和的あるある」っぽいですよね。

 

 

 

 

 

今回は以上となります。
こうして見ると、ちょっと面白くなかったですか?
今の私達が見ても、勉強になったりときめいたりする事もありますよ。

ちなみに私が好きなのは、やはり「長からん心も知らず黒髪の…」ですかね。興味があったら調べてみて下さい。

 

 

 

 

 

参考文献
小学生のまんが百人一首

監修 神作光一
発行人 東樹正明
発行所 株式会社 学習研究社
印刷 大日本印刷株式会社