三種三様の男たち。あなたが選ぶなら?「シン・シティ」から学ぶ男の愛

 
一昔前の作品になりますが、2005年公開のアメリカ映画『シン・シティ』から”愛”について考察します。

観た事がないという方には、ストーリーをネタバレでご紹介。
すでに観たことがあるという方には、懐かしく振り返って頂きたいと思います。

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出典:Amazon

この作品は3つのエピソードによる、オムニバスストーリーになっています。
ジャンルとしてはヴァイオレンスなので、女子には馴染みがないかもしれません。
しかし、非常に深い”愛”がテーマになっています。

3人のヒーローに照準を合わせて、次ページからはストーリーをご紹介していきましょう♪
 

 

EP1:ハード グッバイ

 
誰もが避けるほど、獣のような風体のマーヴは、行きつけの酒場でゴールディと名乗る天使のような美女と出会います。
女性との縁などほど遠いはずのマーヴは、ホテルで彼女と夢のような一夜を共にするのです。

しかし翌朝目が覚めると、彼女は何者かによって殺されていたのです。
恐らく彼女は危険から守ってもらうために自分に近づいてきたのだと、マーヴは悟ります。

しかもすぐに警官隊が駆けつけてきて、マーヴはゴールディ殺しの犯人に仕立て上げられてしまうのです。
一夜とはいえ愛した女のため、マーヴは復讐を誓い、動き始めます。

情報を探る中、ゴールディの双子の姉・ウェンディと出会い、復讐の相手を知ることとなるのです。

黒幕は国の裏の支配者・ロアーク卿。
彼女に手を下したのはその手下・ケビンでした。

マーヴが相対する無情な殺人鬼・ケビンは、人肉を食す性癖のある異常な青年。
彼の驚異的な身体能力から繰り出される陰惨な攻撃の数々。
厳しい戦いを強いられ、大量の血を流すこととなるマーヴ。

しかし最後にはケビンを捕らえ、愛した女・ゴールディの復讐を遂げるのです。
「死んだ方がマシだと思えるくらいの」凄惨な罰を与えられたケビン。
手足を切り離された彼は、鮮明な意識の中飼い犬に体を喰われ、朽ちていくのでした。
 

 

EP2:ビッグ ファット キル

 
顔を変えて警察の手から逃げる死刑囚・ドワイトは、恋人・シェリーにつきまとう暴力男・ジャッキーボーイをこらしめるべく追いかけます。

着いた先は娼婦たちが統治するオールド・タウン。
嫌な予感がドワイトの胸をよぎります。

街中を歩く娼婦をしつこく誘い、脅すジャッキーボーイ。
彼は街を警備する冷徹な殺人鬼・ミホの手によって粛清されてしまいます。

死体から回収した持ち物の中には、一冊の警察手帳。
ドワイトの嫌な予感が的中します。
なんと、ジャッキーボーイは警官だったのです。

警官に金と極楽を与えることで成り立つ街の安全は、これをきっかけに崩壊の一途を辿ることとなってしまいます。
警官を殺すということは、オールド・タウンと警察との和平協定を破る行為になるのです。

これをチャンスとばかりに利権を狙って乗り込んでくる輩たちに、街は無法地帯と化します。
街を統制するドワイトの元恋人・ゲイルを先頭に、娼婦たちは応戦。

警察と相対することは避けたい死刑囚のドワイトですが、「何もなかったことにする」ために、ジャッキーボーイの死体を始末する役を買って出ます。

女たちの運命を背負い、死体を乗せた車で疾走するドワイト。
その先に待つ彼の運命とは―?
 

 

EP3:イエロー バスタード

 
心臓に持病を持つ昔気質の古参刑事・ハーティガンは、連続幼女殺人犯であるロアークJr.を追い詰め、怒りに任せて再起不能になるほどの重傷を負わせます。

そして今まさに犠牲になろうとしていた少女・ナンシーを救出したところを、相棒・ボブに裏切られ、凶弾に倒れるのです。

重傷を負ったハーティガン。
その上ロアークJr.の父親であるロアーク議員によって、連続幼女殺人犯の罪を着せられてしまうのです。

服役すること8年、ハーティガンは出所を迎えます。
そして父親の手によって復活したロアークJr.に、再びナンシーが狙われていることを知るのです。

大人になっているであろうナンシーを訪ねるハーティガン。
やせっぽちの子供だったナンシーは、なんとストリップダンサーになっていました。
予想以上に大人の姿に成長していたナンシーに戸惑うハーティガンでしたが、お互いの無事を喜び合います。

しかしその影には、無茶な再起の副作用によって醜く変貌し、悪臭を放つイエロー・バスタード(腐ったミカン)となったロアークJr.が付け狙っていたのです。

再び捕らわれの身となったナンシー。
彼女をいたぶるロアークJr.でしたが、ナンシーは声ひとつ上げずに耐え抜くのです。

より強固になったハーティガンとナンシーの絆は踏み込む余地のないものとなっていました。

反撃に打って出たハーティガンに殴り倒されるロアークJr.。
ハーティガンはうずく持病にこらえながら、二度とナンシーの前に現れることのないよう、完膚なきまでロアークJr.を”文字通り”叩き潰すのです。

ナンシーを守り抜くことができたハーティガンでしたが、すでに体はボロボロでした。
ふたりで生きる道はかなわず、ハーティガンはナンシーの腕の中で幸せな眠りに・・・。

後にはナンシーの鳴き声だけが、雪原に響き渡るのでした。
 

 
愛する人を失った哀しみから、復讐に命を懸けるマーヴ。
女たちのために、自らを省みず再び喧騒に身を投じるドワイト。
最後まで少女を守るためだけに命を全うしたハーティガン。

それぞれ乱暴な男たちではありますが、一途で不器用な生き様に惹かれますよね。

あなたは誰に心動かされましたか?