冥界と心理学 ~夢を通して闇を見つめよう~ その12

冥界と心理学 ~夢を通して闇を見つめよう~ その12

「冥界と心理学 ~夢を通して闇を見つめよう~ その12」

おはようございます。志方弥公です。
今回はユング心理学の基礎をもう一度おさらいとして書きます。

そして闇と無意識世界との相関性も加えて説明したいと思います。

冥界は闇の世界

muishiki

ユング心理学の初歩的な学びとして、必ずといって出るのは、こちらの画像です。
少しでも心理学の本を読んだ事のある方なら見た事があるでしょう。
ユング心理学で必ずといって学ぶであろうこの図。私達がモノを見たり、話したりしている意識は「自我」といいます。いわば、「わたし」は「わたし」である事が「自我」なんですね。
夢の中で行動しているのも、「自我」です。無意識に入り込んで振り回されているんですね(笑)
で、考えている事、可能な限りの記憶を呼び戻せるものの世界が「意識」です。認識出来るレベルなのが「意識」です。
そして、思考の範疇外にあるのが「無意識」の世界です。見たモノ、聞いたモノ、経験の記憶は全て「無意識」に押し込まれ、決して忘れる事のない世界です。「意識」内にないということは、「無意識」に押し込まれ、封印されているというだけです。

 


「臭いものに蓋をする」という諺があると思いますが、まさに的を射た感じです。
そしてもっと奥深い所に、「集合的無意識」がありますが、これは育った環境や文化、アイデンティティです。先祖から受け継いだ遺伝子情報もここに入ります。共通部分の認識出来ない部分といってもいいでしょうね。
個人レベルではなく、文化や歴史や宗教など、人類レベルの認識です。
ここまでさくっと説明しましたが、これは夢分析において最重要キーワードですので、しっかりと頭に入れておいてください。

さて、話を戻しまして、冥界について書きたいと思います。
冥界は死者の世界――夢の世界でいえば無意識世界……闇の世界です。
もともと無意識は「闇」と位置づけられています。ざっくりとまとめます。

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よく女性は陰の象徴であると聞きますね。それと同じように、闇の象徴でもあります。無意識世界や冥界は闇の象徴であることは言うまでもなく、他にも月や水、青なども闇の象徴になります。夢分析ではこれを参考にしながら分類していき、当てはめていくんです。
これは集合的無意識の象徴です。各々が経験したモノでなくとも、このような集合的な文化的無意識によってすり込まれ、象徴として出現してくるんです。

誤解しないで欲しいのは、「闇」は悪ではないことです。善悪に関しては、ここでは存在しません。そもそも善悪という観念は生きている人間達が創り出した概念であり、象徴を前にすれば善悪が消えてしまいます。
確かに人を殺せば「悪」と見なされてしまいますが、戦争においてはたくさんの敵兵を殺せば「正義」と見なされます。このような矛盾に、象徴が立ち向かえば善悪など関係がなくなるというわけです。
いつも思います。人を殺すのは確かに良くない。というよりも、絶対ダメなんだろうけど、その「ダメ」を決めたのは一体誰なんだろうか、と。
神様でしょうか? でもその神様は人間が創造したもの。神様という概念を創り出して、宗教が生まれたわけですよね。
本来人間は人殺しの本能を持っています。集団同士で食料を巡って戦争を絶えずに行ってきたわけです。そして生き残るために集団内(仲間内)での殺し合いはとてもリスキーであり、他の集団に殺されてしまう危険性があるため、ルールとして仲間内の人を殺すな、というものが出来上がったのですね。これが法律の本来の姿です。

なので、日本にいる限り日本国憲法や民法、刑法などの法律に囲まれて暮らしているんです。小規模だったのが大規模、国家にすり替わっただけの話です。

次は光と闇はどうやって生まれたのかを書きたいと思います。

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