冥界と心理学 ~夢を通して闇を見つめよう~ その8

冥界と心理学 ~夢を通して闇を見つめよう~ その8

こんにちは、志方弥公です。

次は幽霊が出てくる夢と金縛りです。

幽霊が出てくる夢は怖いですよね。追い掛けられたり、脅かされたり。でもそれは自分の無意識が創り出した、「恐怖の対象」を具現化したものにすぎないのです。
これを心理学用語でいうと、「シャドウ(影)」と呼びます。

 


【シャドウ】
シャドウ(影)とは、個人において生きてこなかったもうひとつの側面であり、意識にとって許容できない自分の暗黒面のこと。ユングの提唱した元型のひとつ。

例えば意識において、ある自己イメージが選択されると、それに対立するイメージは無意識に抑圧される。そして、生理的に受け付けない人物という形で夢に登場したり、現実の人物(同性である場合が多い)に投影されたりする。

 

……と、(ユング心理学参照)されています。
現実の人物(同性)であることが多いのは、過去にいじめられた人や嫌いな人、職場にいる嫌な人であることが多いんですね。幽霊はその暗黒面での未知なる世界における、自己の投影です。意識上には昇ってこない、未知な嫌な部分なんですね。無意識に排除された許すことの出来ない自分自身です。
例えば、今のあなたはとても真面目で規則をきちんと守る人であったとしましょう。そうしないと人間関係も壊れると危惧しますし、会社で首になるかもしれないという恐れからきちんとしよう、と思うわけです。しかし、これはあくまで「建前」で、意識の奥に隠された正反対の性格は、規則を守らない、不真面目、だらしない、性的奔放だったりします。人は必ず、相反する部分がどこか自分の中にあるんですよ。

だけど社会面ではそれを出しちゃいけない。だから封印しよう……と無意識に押し込めるんです。外に出してはならない側面だから。
そうすると、公的なところでだらしない人、男ばっかり追い掛ける女などを見ると無性に腹が立ちませんか? そうなんです、自己投影してるんです。その人に対してムカついているのではなくて、実はその一面を持ち合わせる自分にムカついているんです。
だって、無関心だったらムカつきませんよね。そういうことなんです。
これがシャドウの正体です。
良いじゃないですか。そんな一面を持つ自分も好きになってください。そうすると夢に出てこなくなってきますよ。
だらしなさ結構! 不真面目結構! 異性に、たまには狂ったっていいじゃないですか。よく聞きますよね、昼間は貞淑な妻、夜の夫婦生活は娼婦の如く……なんて。そういう風にバランスを取っていけば精神的に健康ですよ!

幽霊というのは、自分のまだ知らない暗黒の一面です。早速、鑑定例を紹介します。

 

【夢内容】

母と電車に乗っていると、ドア付近に小さな女の子の幽霊が立っていて、私は怖くて、心の中でお経を唱えていました。
怖くて母の手を握りながら、電車を降りると、遠くの建物に、またその女の子の幽霊がいて、私は「何事も無いように」とまたお経を繰り返し心の中で唱えていました。

【鑑定結果】

幽霊という恐怖対象は、夢主にとっての、「忌み嫌うもの、恐ろしいもの、みたくないもの」です。
いわば、心理学の用語でいえば、「シャドウ(影)」の部分です。

誰でもそれぞれ嫌なものだと認識している部分がありますが、個々それぞれなんです。
夢主にとって「都合の悪いもの」が、「シャドウ」です。

「シャドウ」に脅威を受けているというところでしょうか。
最近何かコンプレックスを刺激される出来事がありましたか? 気にしている事を指摘されたりしませんでしたか?

反省を含め、心がガックリときているところを、夢に反映されてしまったのでしょう。
これに対してコメントはありませんでしたが、大まかなところ、こんな感じで鑑定しました。

 

少女の幽霊というのは、過去の自分の暗黒面です。親子関係があまり良好ではなかった、(「きっと」は確信あることに使います。)あるいは厳格な家庭に育てられたのかもしれません。
いずれにせよ、夢主は少女時代に思い切り親からの愛を欲しくてたまらなかったけれど満足に得られなかった状況にあったのでしょう。一番上の長女に多いです。
今でも親に精神的に頼りたいのが見えてきます。
本当に夢をたくさん鑑定してきてつくづく思います。「母」という存在感は絶対だなぁ、と……。
ユング心理学でも、「グレードマザー」という言葉があるぐらいですからね。「オールドワイズマン」は父のような存在ではありますが、必ずしも父を対象としているわけではありません。知恵者、教授的なもの、上の立場の人というイメージもありますから。
しかし、グレードマザーは母です。夢の中でも、母的要素が強いですね。洞窟も母的要素であり、産道を表しています。

まだまだ続きます。次は金縛りです。(前にも説明してありますが、もう一度。実際の鑑定した例を紹介します。)

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