~恋愛小説~

~恋愛小説~

*** 桜、 咲く ***                         原作:紅

 

「今日は生姜焼きが食べたいな」と

言って圭太は朝、部屋を出て行った。

うん、と私は答え、彼といってらっしゃいのキスをする。

彼のシャンプーの香り、出際にする、私のオデコへのキスする癖…

いつも通りの日常だった。

 

私は狭いが、二人が使い易いように整った部屋を見回した。

ベッドの上に、彼のブルーのパジャマが無造作に置かれてある。

私は彼のパジャマを洗濯機へ入れて、スイッチを押す。

洗濯機が可動している間に、二枚のお皿と、お揃いのマグカップを洗う。

 

今日も天気がいい――青空

しかし、深呼吸する気にはなれなかった。

 

「分かってる、もう別れ話しはついてるんだから…来月には、何とか…」

昨夜、彼は私がお風呂から出ていたのに気付かないで電話をしていた。

陰から、彼の受け答えで――その時が来たのを知る私…

 

歳の差は12、私は40の派遣社員。勿論独身――。

 

掃除機をかけ、衣類をまとめているうちに4時過ぎとなった。

解凍済みの豚肉を生姜で焼いてラップをかけ、テーブルへ置く。

このテーブルで何度語り、笑い、言い合い、泣いたことか……

――最後の夕食は生姜焼きだったか…

置き手紙なんて、キザなことはしない。

あとで メールですませよう。

 

そろそろ、春スーツ、クリーニング仕上がっている  事も伝えておかないとな。

私は、ざっと、部屋を見回した。

スーツケースを引いて玄関で靴を履く。

外へ出る。

目の前の一本の桜がそろそろ咲きそう。

愛らしい、毎年、そう思っていた。

 

玄関ポストへ『カギ』を躊躇わず投げ込む。

ポトン     という音が、私達らしかった。

*END*

 

 

 

 

 

 

 

ABOUT この記事をかいた人

sakuradamayo

紅です。 フリーライター、ノベル作家、そして歌手(桜田まよ)です。 デビューはすべて 遅咲きでした。 遠回りして 楽しみながら色々な事をしてきました。 好きなことは憧れに止まらず、徹底的にモノにしたい! そういうタイプです。 ライターになりたかったから応募し受賞してライターになった。 歌手になりたかったから、勉強してキングレコードからデビューした―― 自分の気持ちに正直でありたいです。 言い訳を塗りたくって、夢、希望を諦めたくない。 人が好きです! みんなで幸せになれたらいいなと思います(^^)♪