霊山の真実(1)山がかつて女人禁制だった本当の理由【芦屋道顕の霊的真実】

霊山の真実(1)山がかつて女人禁制だった本当の理由【芦屋道顕の霊的真実】

霊山の真実(1)山がかつて女人禁制だった本当の理由【芦屋道顕の霊的真実】

■霊山はかつては『女人禁制』だった

昨今は山ガールなどの言葉もでき、それ以前から登山は女性にも人気の行楽の一つとなり、もはや、かつては山が『女人禁制』だったことなど知らぬ若者も多いようじゃな。

とはいえ、山というても各地にあるそこまで険しくなく、人里から近い山などは、地元の女達が山菜やキノコなどの山の幸を採りに入っていたこともあり、全ての山が女人禁制だったわけではないのも事実。

しかし、日本各地にある『霊山』と呼ばれる山は別で、女人禁制は厳格に守られていた。

『紳士限定』のゴルフ会員クラブやら秘密のバーやら、分かりやすく『男だけの世界』にしたいからと女人禁制にしている集まりなどとは異なり、そこには「山には山の神がいる」ことを前提とした禁忌があった。

■山は危ないから・修験者が色欲に負けないようにetc.表向きの理由は知られているが

山が女人禁制の理由は表向きにもいくつかは知られている。

★山は危ないから

山では男性に比べて体力がない女性は、獣に遭遇したり険しい山道で怪我をしたりしたときに命の危険が多い。・・・と、今のように山道が整備され猟友会が獣の対策をしている時代とは異なる現実的な理由があった。

また、山に入る男達の中には、人間であっても獣のような者もおろう。そやつらに襲われる危険もあるのは、今も昔も、これは山でも海でも都会でも変わらぬ悲しき事実じゃな。

★女性には生理があるから

神仏や聖地の八百万の神が『血の穢れ』を嫌うから、というこれは男尊女卑に繋がる古くからの宗教的な考え方じゃな。現代のようにやはり対策がままならなかった時代には「血の匂い」が獣を引きつける、といういかにも論理的に思える理由もあったようじゃ。あとはやはり、体力的に落ち込む、男性に比べてそこらへんで用を足すわけにはいかないなどもあったであろう。

★修験者が色欲に惑わされないため

霊山の真実(1)山がかつて女人禁制だった本当の理由【芦屋道顕の霊的真実】
これもまた宗教的な理由であるが、山に分け入って修行を行なう修験者は、当然ながら禁欲を貫く。女性との接触などもってのほか。しかし、やはり空腹時に焼肉の香ばしい匂いがすれば手が伸びてしまうか、耐えても頭の中が焼肉のことでいっぱいになるように、修行中でも目の前に女性が現れれば手を出さないにしても邪なことを考えずにはいられなくなるやもしれぬ。あらかじめ、修験者の誘惑の元を断つためにも、女性は山に、特に修験者のいる霊山に入ってはならぬのじゃな。

★山の神が女神なので女が登ると嫉妬する

また、海も山も「神様は女だから、女が入ると嫉妬して災いが起きる」という話もある。これについては不思議なことに、男の神が人間の男に嫉妬して災いをもたらす言い伝えは聞いたことがないゆえ、やはり男尊女卑的な宗教の古い考え方に基づいて「女は神であろうと嫉妬深い」と昔の人たちが考え、禁忌としたのやもしれぬ。確かに日本でも世界でも、神話の女神は時に人間の女に嫉妬をして人間の女を殺したり動物の姿に変えたり、見た目を醜くしたりと災いをもたらしてはいるが、それがはたして実際にあった出来事から成り立つ話なのか、完全な創作なのかは分からぬ。

・・・さて、このあたりまでは誰もがどこかで聞いたことがあろうが、この先は初耳あるいは想像はしたがまさか!のはず。その一般には隠された理由とは、

■山の神あるいは山の中の異界の大物が『男』で人間の女が身籠ると困る

山の神は女ばかりではなく、男もいる。また、霊山と呼ばれるような修験者が選ぶさまざまな由来のある山の中は異界そのもの。異界の男性性を持った魑魅魍魎、時に魔物や鬼でも他の多くの魔物を従える『大物』がいて、彼らは人間の女との間に子供を作れる。

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そのようなことが起きぬよう、妊娠可能な女性は入ることが禁じられている。山には女人禁制と言いながら、山菜取りや何やらで老女は山に入れることが多いのはそのためでもある。現代ならば逆差別のような話になってしまうが、神仏や呪いの関わる古来の掟では、老女はすでに女性ではなく、ゆえにさまざまな女性に対する禁忌に制限されぬのじゃな。

さて、もう一つは、

■女にだけ解ける封印がある

日本の昔話や神話ですぐにこれという話が思い出せぬゆえ、現代の外来の話で恐縮ではあるが、ロードオブザリングにそういった話がある。ナズグルなる、竜に似た怪物に乗った『アングマールの魔王』は「人間の男には決して殺せない」ゆえに、それまでは不死身と思われてきた。しかし、エオウィンなる姫が男の甲冑を纏い現れる。エオウィンを当然男だと思っている魔王は、エオウィンをほとんど追い詰めたところで言う。「人間の男には殺せない」そこでエオウィンは兜を脱ぎ、長い髪と顔を見せて言う。「私は男ではない」そして魔王に剣を突き立てる。

★男が封じたものは男に解けないようにはなっているが

日本のように山が多い地域では、山の中に封印があるか、山そのものが封印になっていることが多い。そして、ほとんどの場合、封印を行った者は男で、人間以外の存在だったとしても男性性のエネルギーを使って封印している。

そういった封印は、これは男の驕りによる盲点で、ロードオブザリングのエオウィンのような「女」がまさか封印を破りにくるとは微塵も想定しておらず、ゆえに封印をするときにその呪術の対象に「女」を含むことを忘れているのじゃな。耳なし芳一で僧が芳一の耳にうっかり呪文を書き忘れたように「女」の呪術破りが現れることを想定せず、そこが弱点となるのじゃな。

続く。

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