子への呪詛(3)『鬼神』に連れ去られた子ども達の話【芦屋道顕の現代の呪2】(ページ2)

子への呪詛(3)『鬼神』に連れ去られた子ども達の話

これは『子への呪詛』(1)(2)の続きじゃ。
(1)(2)を先に読んでくだされ↓
子への呪詛(1)『はないちもんめ』は人買いの歌?子の遊びにかけられた呪詛とは
子への呪詛(2)『かくれんぼ』の怖い話

■『神隠し』の名の通り『神』に連れ去られた子ども達の行方は?

当然ながら、これは子どもが行方不明になったことを正当化するためではなく、ただ子を失って悲しむ親のための慰めの要素もあったやもしれぬ。が、異界や魔界を含めたこの世と隣接あるいは重なって存在しながらも、生きた人間の目には通常見えず、ある特定の子どもにだけ見えてしまう世界が存在し、そちらの住人が子どもに干渉することは昔は多く、今も時折起きているようじゃ。

子への呪詛(3)『鬼神』に連れ去られた子ども達の話【芦屋道顕の現代の呪2】

★日本では特に子どもを連れ去る神は天上神ではなく異界・魔界も含めた世界に棲まう『八百万の神』魔神や鬼神もいる

子への呪詛(3)『鬼神』に連れ去られた子ども達の話【芦屋道顕の現代の呪2】
タイトルでは単純に『神』としたが、日本は八百万の神の国。海外では神とされない『魔物』『妖精』などに分類される不可思議な存在も、日本では数多いる神の一つとされ、神として扱われればそれなりに神らしき振る舞いを身に付ける、本来はやはり魔物や妖怪と呼ぶに相応しき何者かもおるようじゃな。

例を挙げると、

■鬼神が人間の子どもを『嫁や婿』あるいは『弟子』『養子』にすることも

★鬼神は『元人間』が多い

魔界の鬼の中には、かつて人間だった者もおる。実はかつて人間だった鬼は現世に働きかける力が非常に強く、人間界にやってくることもしばしば。そして、あまり知られておらぬが魔界の存在も時に『嫁取り』『婿取り』をし、鬼の子であれ妖怪の子であれ子どもができれば子育てをし、子どもができないか死んでしまえば、なんと『養子縁組』をすることもあるのじゃ。

鬼神になるような『元人間』は、生前には名門名家の跡継ぎで、一族を守る義務と責任を背負うていた者、そのために何やら『神』なる者と契約を交わしていた者が多い。彼らは死後も、一族の守り神となるが、一族を守る意思があまりにも強く、それゆえに一族に危害を加える者や、一族の中でも己が生前に守っていた決まり事を守らぬ者を許さず喰い殺すなどを繰り返した結果、鬼になってしまうことがある。

そのようにして鬼になった者は、祀られると鬼神となり、一族を守るが長い年月のうちに高位の存在とも関わることがあり、鬼としての魂の境涯が上がると鬼神として一族のみならずその周辺地域一帯の守り神となることもある。

★鬼神は迷い込んだ子どもが魔界に適応するか様子見をする

鬼神が守る地域で、どこぞの子どもが人間界から迷い込んできた場合、鬼神はその配下の鬼や妖魔には子どもに手出しせぬよう言い含め、しばらく様子を伺うことが多い。

そして……。これは子が神隠しになった親や周囲には受け入れ難い話ゆえ、飽くまで夢物語と思うて読み流してほしいが(元々、そのつもりで読んでおろうが)

子どもの様子から、彼らには子どもの心の空洞や闇が把握できる。『蛇の道は蛇』とは言うが、異界に迷い込むのもまた、そのような素質があるからゆえなのじゃ。

子への呪詛(3)『鬼神』に連れ去られた子ども達の話【芦屋道顕の現代の呪2】

しばらく経っても誰も子どもを探しに来ず、また子ども自身がそれほど切実に親元や友達の元に帰りたいと願っていないと、鬼神は自分自身で、あるいは手下から子どもに声をかけさせる。

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大抵は「ぼうや(おじょうちゃん)どうしたんだい?」と優しく声をかけ、それから……。

★魔界のものを口にすると人間界に帰れなくなる

「お腹が空いていないか?ほら、これをお食べ」と、何かしら食べ物を差し出す。子どもが一口でもそれを食べてしまえば、もう子どもは人間界には戻れなくなる。そのような決まり事があるようじゃ。

恐ろしいことではあるが、その最初に差し出される食べ物は、そうと分からぬようにしてあるが『人肉』であることが非常に多い。これまた、人間には分からぬ六道輪廻、神界仏界から幽界魔界などなど含めたこの三千世界の決まり事らしく、共喰いをすると鬼や魔物になるようじゃ。

★魔界のものを口にすると人間としての自覚をなくしていく

魔界のものを口にすると、子どもは少しずつではあるが、人間界のことを忘れていく。元々、例えば親に愛されておらず、あるいは親がおらずに親族をたらい回しにされていた。あるいは、親は愛していたとしても、友達から仲間外れにされ独りぼっちになり、かくれんぼでは自分が隠れたままでも誰も探しに来ないなどで「自分は皆から必要とされていない」「戻りたくない」などと少しでも感じていた。そのような子どもの場合は特に、その辛く苦しい記憶や感情ばかりが「人間界の記憶」として残り、わずかにあった楽しかったこと、愛されたことなどは忘れてしまう。

そこで、鬼神あるいは手下が「人間の世界にはお前の居場所はない。一緒に行こう。仲間がお前を待っているよ」などと促せば、子どもは素直についていってしまうのじゃ。

そして、やがては己が人間だったことを忘れ、鬼の子として健やかに、というのもおかしいが鬼の子として人間よりも遥かに長い年月を過ごし、やがては一人前の鬼となるのじゃな。

続く。

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