男性オーナー美容師の本音(6)新型コロナ禍でも来店するお客様への複雑な想い
Kuが行きつけの美容室のオーナー美容師から聞いた男性美容師の本音シリーズ。第6弾です。前回は、大手グループの店に勤めている美容師や、小規模店や個人店でも、お給料をもらって働いている美容師の本音。
今回は休業したらそのまま収入がゼロになるから、やむなく店を開けているオーナー美容師と、同じく自分が休んだらなんの保証もない業務委託で働いている美容師の本音。
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【美容師の本音シリーズ】
バックナンバーはこちら↓
男性美容師の本音(5)新型コロナ禍でも来店するお客様への『社員美容師』の本音
男性美容師の本音(4)緊急事態宣言でも営業してる美容室の苦渋の選択と美容師の本音
男性美容師の本音(1)美人とブスで通す席や扱いが違う?有名なうわさに答えてもらったよ
男性美容師の本音(2)担当と会話が弾まない、無口なのは私が嫌われてるから?
【kuの恋愛相談】片想いの美容師の彼がゲイかもしれません。見分け方ってありますか?
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■オーナー/業務委託美容師の本音
※以下、美容師がオーナーであれ業務委託であれ「独立」という言葉を使わせてもらうね。
店の売上を気遣って今こそ来店する常連様への感謝と不安
大手グループの店じゃなく個人店に来てくれているお客様の中には、かつてその美容師が大手で雇われ美容師として働いていた頃からのご縁で、美容師の独立後の店に来てくれた大切なお客様も多い。もちろん、独立後にご縁があって、光栄にも年単位で綺麗のお手伝いをさせていただけているお客様もいる。
ふだんは3ヶ月に一度のお客様でも、店が空いていることを知ってあえて先月来たのに今月も来てくれる方々。毎月ヘアカット、前髪のみとトリートメント、ヘッドスパ、ヘアカラーなどを緊急事態宣言後にも変わらないサイクルで来店してくれる。
「お店のある◯◯県は休業補償が出ないとニュースで知って。開店してるのに予約ゼロじゃ、潰れたら私も困るから」
そして、ふだんは買わないホームトリートメントまでお買い上げくださったりする。「少しでも売上に貢献できたら」と。
本当に、泣けてくる。
本当に、そのお気持ちには感謝しかない。
でも、だからこそ、そんな温かな気持ちで来てくださるお客様に、もし自分が症状の無い感染者で、うつしてしまったら?と思うと気が気でない。こういった有難いお客様は当然ながら、ふだんは不要不急の外出を控えていて、マスクもしてきて、症状ももちろんないという状態で来店する。
美容師側も、店の衛生面はもちろん、行き帰りにも感染しないように(完全に防げるわけないけど)マスクもするし、自宅サロンなら通勤はないし、自宅とサロンが離れていてもオーナーの場合はそんなに遠いところに店を出してないし、業務委託でもわざわざ通勤費がかさむところは選ばないから、車やバイク、自転車あるいは徒歩などでほかの人に接しないように通っている。休日も可能な限り三密を避けている。
それでも。完全予約制で、なおかつ新規のお客様を受け付けない店ならいいけれど、そうでない店にはいろいろなお客様がやってくる。これは社員美容師のところでも話だけど、同じように「一見さん」で、ふだんの店が閉まっていたから今回だけ来たというお客様。自分だけは大丈夫と、まったく外出自粛をしていないお客様。
うちの店では「時間貸し切り」にして、予約の時間帯を前と後で30分は必ず開けて、ほかのお客様とは1分もバッティングしないようにして、30分でしっかり消毒をするようにしていた。
だけど、それでも完璧じゃない。
綺麗事はよそう。本音を言えば、だからふだんはとても感謝していて、売上を支えてくれる常連のお客様には本当に感謝しているけれど、もし、そのお客様が美容室「以外」で感染したら?保健所で行動履歴を聞かれて、店の名前が出たら?
どんなに店側は気をつけていても、そのとき担当していた美容師は濃厚接触者となるし、店は自分のところはどれほど対策をしていて感染源じゃなかったとしても「新型コロナウイルスの感染者が出たので」と告知をして営業停止をしなければならなくなる。
お客様がどんなに気をつけていても、食品の買い出しに行ったスーパーや、やむおえずしている通勤電車でうつされたとして、それはこれまでの新型コロナウイルスに関わる報道を見る限り「感染経路不明」に含まれてしまうだろう。だけど、美容室は特定できるから、もし店のお客様が感染者になったら、「◯◯市の美容室に行ったということです」と報道されてしまうだろう。
そうなれば、たとえ新型コロナウイルスが落ち着いたあとも、いくら実際は衛生管理に努めていたとしても「衛生的じゃない店」のイメージがついてお客様は離れてしまうだろう。
売上を気にしてくださるのは本当に泣けるほど有難い。でも、だからこそやっぱり来ないで欲しい、とも思う。
うちの店は苦渋の決断で東京都の緊急事態宣言が出て数日後に、自主休業することにした。だけどそれはうちが多少だけど蓄えがあること、政策金融公庫からの融資の返済が概ね済んでいること、ほかにローンを抱えていないこと、があるからできるだけだ。
今も営業中の店は、怪しいコンサルにでも「ピンチがチャンス。ほかが休んでいるときに働いてこそ成功するんです」なんてそそのかされて「衛生面アピール!」してるところも少しはあるだろう。「自分は大丈夫」と思っている美容師も残念ながらいるだろう。そういう美容師は好きにすればいい。国にしてみれば、補償金を払わなくても自力で頑張ってくれるんだから願ったり叶ったりだよね。
でも、ほとんどの店、ほとんどの独立系美容師は、やっぱり生活のために泣く泣く店を開けていて、決して開き直るわけじゃないけれど「休業要請が出ず、やむなく店を開けていたけれど閑古鳥で売上が激減」という既成事実を作ったうえで、事業者向けの売上減少給付金の適用を受けるつもりなんじゃないかな。
一番困るのは、大切なお客様を守りきれず感染源となる、または濡れ衣を着せられること。
次が、中途半端に売上が立ってしまって給付対象外になること。消毒やなんかの経費は増えてて手間もかかってて、その分は換算してもらえない可能性もある。
このままじゃ、すでに飽和状態にある美容室のかなりの数が新型コロナウイルスが落ち着く頃には潰れているだろう。
国や都道府県、市区町が足並みを揃えて理美容も休業要請、補償金対象にしないのが悪い。もしかしたらコンビニより多いなんて言われる(実際は、廃業した美容室の数が差し引かれずに開業した店の数だけで計算してるからで、実際はもう少しは少ないはずだけど)美容室を、自然淘汰させるつもりでわざとやってるのかとすら勘繰りたくなるよ。
最後に改めて、これは飽くまで僕の本音で、例外もたくさんいるとは思うけど、やっぱり外出自粛と言われている今は「来ないで」売上を気にしてくれるのは有難いけれど、もっと有難いのは感染リスクを少しでも減らせること。
緊急事態宣言が解除されて、新型コロナウイルスが落ち着いたら、そのときは是非、また綺麗のお手伝いをさせてください。
・・・みんな、無事にこの苦境を乗り越えられるといいね。
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