ゲーム理論とは何か?囚人のジレンマやナッシュ均衡などわかりやすく説明

ゲーム理論とは何か?囚人のジレンマやナッシュ均衡などわかりやすく説明

ゲーム理論とは何か、ご存知ですか?ゲーム理論とは、ビジネスにも活用される意思決定の方法で、「全体にとって最も良い選択をする」という考え方のことです。本屋のビジネス書コーナーを見ると、ゲーム理論に関する本がたくさん並んでいますよね。今回のテーマはそんなゲーム理論について。ゲーム理論とは何か、ゲーム理論の話になると必ずといっていいほど触れられる「囚人のジレンマ」や「ナッシュ均衡」についても、わかりやすくご説明します。

ゲーム理論とは?わかりやすく説明

ゲーム理論とは、わかりやすく説明すると「利益になる選択をする」ということです。
ゲーム理論とは意思決定の問題だ、といわれることが多いです。この「利益になる選択」とは、会社や自分の仲間など、「全体にとって最も良い選択」のことを指します。
ゲーム理論について知るうえで、経営戦略や戦略的決断など、ビジネスっぽい用語が混じってくると、頭が混乱してきますよね。なので、まずはざっくり「ゲーム理論とは、利益になる選択をすること」だと覚えておきましょう。
全体にとって良い選択とは何?という疑問については、「囚人のジレンマ」を例に挙げて、わかりやすく説明していきます。

ゲーム理論の例「囚人のジレンマ」

ゲーム理論の例「囚人のジレンマ」
まずは囚人のジレンマについて、ご紹介します。囚人のジレンマはゲーム理論について説明するときによく出てくる例ですが、難しい話ではありません。とある囚人2人を主人公に、利益になる選択とは何か、ゲーム理論とは何かをわかりやすく解説するためのストーリーになります。

囚人のジレンマとは

囚人のジレンマとは、罪を犯した2人組の囚人が「罰を軽くするにはどうすればいいのか?」という選択に悩まされるストーリーです。
警察に捕まった2人組の囚人は、別々の牢に入れられて、取り調べを受けます。お互いに連絡が取れないなか、囚人は警察からある取引を持ちかけられます。それは、自白するか黙秘するか、自分と仲間の選択によって罰の重さが変わるというものです。

  • 自分が自白する…仲間が黙秘していたら、罪は帳消し。仲間も自白していたら、懲役5年。
  • 自分は黙秘する…仲間も黙秘していたら、懲役1年。仲間が自白していたら、懲役10年。

これは、囚人2人がお互いに相談できないなかで、持ちかけられた取引です。もし自分が黙秘したまま仲間に裏切られたとしたら、自分の罰は懲役10年。一方、仲間が黙秘しているなかで自分だけが自白すれば、自分の罪は帳消しになります。自分が自白し、仲間も自白していた場合は懲役5年です。
2人とも罰を軽くするにはお互いに黙秘する必要がありますが、仲間が自白したときのリスクが高いため、自白するしかない…というのが、囚人のジレンマです。

囚人のジレンマとゲーム理論の関係

囚人のジレンマでは、もし囚人2人が話し合って協力することができたらなら、2人とも黙秘することを選択し、罰を軽くすることができたでしょう。ですが、囚人2人は協力できない状況だったため、2人の利益ではなく、自分にとって利益になる選択をしています。
ここで思い出したいのが、ゲーム理論。ゲーム理論とは「全体にとって最も良い選択をすること」です。
例として挙げた囚人のジレンマを読むと「あれ?全体にとって良い選択は『黙秘』だったのでは?」と疑問に思いますよね。ゲーム理論の考え方でいえば、囚人のジレンマでは黙秘することが正しいはずです。
なぜ囚人は2人にとって利益になる選択をしなかったのでしょうか?そのことについて知るために、「ナッシュ均衡」の説明に移りましょう!ゲーム理論をわかりやすく理解するための、最後のピースがナッシュ均衡です。

「ナッシュ均衡」を知ってゲーム理論を理解する

「ナッシュ均衡」を知ってゲーム理論を理解する
ゲーム理論を解説するための最後のピースであるナッシュ均衡とは、ゲーム理論を研究していた数学者のジョン・フォーブス・ナッシュが発表した論文のなかにある概念のことで、彼にちなんで名付けられました。ナッシュ均衡とは何か?わかりやすく説明していきます。

ナッシュ均衡とは?簡単に説明

ナッシュ均衡とは、「選択によって自分が損をしないようにする」「自分にとってリスクの低い状態にする」という概念のことです。そう、囚人のジレンマで「自白する」という選択をした理由は、ナッシュ均衡で説明ができるのです。
お互い黙秘をすることが、囚人2人にとって最も良い選択(全体にとって利益になる選択)だったとしても、相手が自白をしてしまえば、自分は重い罰を受けることになります。これは自分にとって損ですよね。自分が自白をすれば、最悪、一番重い罰は避けることができます。
自分以外の人が絡んでくる状況のなか、「お互いに協力ができないなら自分が損をしない選択をする」というのが、ナッシュ均衡の概念となります。

ナッシュ均衡をさらに詳しく解説

ナッシュ均衡についてもっと知りたいという人のために、さらに詳しく解説していきましょう。ゲーム理論は「協力ゲーム」と「非協力ゲーム」に分けられ、ナッシュ均衡は非協力ゲームの解のひとつと言われます。

  • 協力ゲーム…皆で協力することで利益を得る
  • 非協力ゲーム…それぞれが競い合い、利益を得るかどうかは自分の選択次第

例の囚人のジレンマは、お互いに相談ができなかったため、非協力ゲームとなりました。もし、相談し合って協力ゲームになった場合、囚人の2人は全体の利益を考えて、黙秘を選んだでしょう。
全体の利益を考えた選択をすることを、「パレート最適」といいます。自分の利益を追求するナッシュ均衡と、全体の利益を追求するパレート最適では、「利益になる選択」が異なる場合も少なくありません。それが、囚人のジレンマで表されているのです。
全体にとって最も良い選択をする…。ゲーム理論への理解を深めていくと、それがビジネスにも応用できるといわれています。

ゲーム理論のおすすめ本

今回はゲーム理論についてわかりやすく説明するのが目的ですので、ゲーム理論の概要しかご紹介できませんでしたが、もっと詳しく知りたいという人は本などを読んで勉強してみてはいかがでしょうか。ゲーム理論をビジネスに活用するヒントが見つかるかもしれませんよ。

初心者におすすめ『マンガでやさしくわかるゲーム理論』

ゲーム理論に興味があるけど、囚人のジレンマやナッシュ均衡を文字だけで理解するのは難しい…という人におすすめの本が『マンガでやさしくわかるゲーム理論』です。ゲーム理論について、囚人のジレンマやナッシュ均衡を、漫画でわかりやすく解説してくれています。ゲーム理論の初心者でもわかりやすいおすすめの本です。

ビジネスにおすすめ『戦略思考を磨くゲーム理論トレーニング』

ゲーム理論から戦略的思考を身につけたいという人におすすめの本が『戦略思考を磨くゲーム理論トレーニング』です。頭のトレーニングになる81の問題を解きながら、ビジネスでも活用できるゲーム理論の考え方を習得することができます。

恋愛にもおすすめ『直観でわかるゲーム理論』

『直観でわかるゲーム理論─勝負頭脳が冴える「シンプルな必勝法」』は、ビジネスだけでなく、恋愛にもゲーム理論が活用できるというおすすめの本です。本のなかには練習問題が用意されていて、問題を解いていくことで、ゲーム理論の考え方について知っていくことができます。ゲーム理論に初めて触れる人にもおすすめされている本です。

まとめ

今回はゲーム理論とは何か、わかりやすく説明しながら、囚人のジレンマやナッシュ均衡などにも触れてきました。奥が深いゲーム理論ですが、ビジネスにも活用できるので、興味を持たれた方は、おすすめ本を読んで勉強してみてくださいね。