競馬の控除率とは?何%?控除率・回収率・還元率の違い

競馬の控除率とは?何%?控除率・回収率・還元率の違い

競馬の控除率とは何か、ご存じでしょうか?競馬などのギャンブルでは、控除率の計算や見極めがとても重要だと言われています。今回は競馬の控除率について、控除率の割合や、回収率・還元率との違いなどをまとめてみました。

競馬の控除率とは?

そもそも、「控除率」とは何を表す数値なのでしょうか?まずは、ギャンブルにおける控除率の意味や、競馬の控除率の割合について解説していきます。

控除率とは「胴元の取り分」

ギャンブルにおける控除率とは、ギャンブルに参加した人たちが払った掛け金のなかから、主催者である胴元の手元に入る取り分のことを言います。掛け金が100万円集まった場合、控除率が30%だったら、30万円が胴元の取り分となり、残りの70%はギャンブルに勝った人たちに払い戻されます。
胴元の取り分の割合を「控除率」と言うのに対して、賭けた人たちに払い戻される金額の割合を「払戻率」と言います。

競馬の控除率は20~25%ほど

競馬の控除率は20~25%ほどで設定されています。競馬の控除率は馬券によっても違いますし、地方競馬など主催者によっても変わります。
公営ギャンブルである競馬は、法律で払戻率が決められています。法律で決められた払戻率70~80%の範囲内であれば、主催者それぞれが馬券ごとに払戻率を設定でき、控除率は自動的に20~30%の範囲内となります。
のちほどご紹介しますが、実際に各主催者が決めた払戻率をみてみると、75~80%ほどで設定されていることが多いようです。つまり、競馬の控除率は20~25%ほどで設定されることが多いということになります。

控除されたお金の使い道

控除されたお金の使い道

競馬は、法律によって施行が許可された公営ギャンブルの一種です。認められた特殊法人・地方公共団体などの公的機関が、地方財政資金の調達を目的として主催しています。
JRA(日本中央競馬会)を例にみてみましょう。たとえば100円の馬券のうち、払戻率75%、控除率25%であれば、購入した人たちに約75円が払い戻され、残り約25円がJRAに控除されます。控除された約25円のうち、約10円が国庫に納付され、政府の収入となるのです。これは第1国庫納付金と呼ばれています。また、事業年度ごとに利益が生じた場合、その額の2分の1が国庫に納付していて、こちらは第2国庫納付金と呼ばれています。
JRA公式サイトによると平成30年は第1国庫納付金が約2,805億円、第2国庫納付金が約277億円、合計3,082億円ほどが納付されているようです。これらの国庫納付金は4分の3が畜産振興、4分の1が社会福祉に活用されています。

参考:国庫納付を通じた貢献(社会とともに) JRA

馬券の種類ごとの控除率

さきほどご説明したとおり、競馬の控除率は、法律で決められた範囲内であれば、主催者それぞれの裁量で、馬券ごとに払戻率を設定することができます。実際、競馬の馬券ごとの控除率はどれくらいでしょうか。

馬券の種類ごとの控除率一覧

競馬の主催者と馬券ごとの控除率一覧は以下のとおりです。

主催者 単勝 複勝 枠複 枠単 馬複 馬単 ワイド 3連複 3連単
JRA 20% 20% 22.5% × 22.5% 25% 22.5% 25% 27.5%
ばんえい十勝 20% 20% 25% × 25% 25% 25% 27.5% 27.5%
ホッカイドウ 20% 20% 25% × 25% 25% 20% 30% 30%
岩手競馬 20% 20% 25% × 25% 25% 25% 27.5% 27.5%
浦和競馬 20% 20% 25% 25% 25% 25% 25% 27.5% 27.5%
船橋競馬 20% 20% 25% 25% 25% 25% 25% 27.5% 27.5%
大井競馬 20% 20% 25% 25% 25% 25% 25% 27.5% 27.5%
川崎競馬 20% 20% 25% 25% 25% 25% 25% 27.5% 27.5%
金沢競馬 20% 20% 25% 25% 25% 25% 25% 27.5% 27.5%
笠松競馬 20% 20% 25% × 25% 25% 25% 27.5% 27.5%
名古屋競馬 20% 20% 25% × 25% 25% 25% 27.5% 27.5%
兵庫競馬 20% 20% 25% × 22.5% 25% 25% 27.5% 27.5%
高知競馬 20% 20% 25% × 25% 25% 25% 27.5% 27.5%※
佐賀競馬 20% 20% 25% × 25% 25% 25% 25% 27.5%

※こちらの控除率一覧は、各主催者の公式サイトで公表されている払戻率をもとに、「控除率=100%-払戻率」で算出した数値です)
※例外あり(高知競馬場の最終レースは三連単の控除率は23%です)

馬券ごとの控除率をみてみると、どの主催者も似たような割合で控除率を設定していることが分かりますね。ですがよくみると、たとえばホッカイドウ競馬では、3連複・3連単の控除率が30%と高く、ワイドは20%と低いなど、主催者ごとの特徴もみられるようです。

主催者や馬券の種類によって控除率が違う理由

以前は競馬法で定められた計算式によって、馬券の種類ごとに払戻率が一律で決められていました。しかし、平成24年の6月に競馬法が改正されてから、主催者ごとに決められた範囲内で馬券の種類ごとに払戻率と控除率を決められるようになったのです。
控除率は馬券の種類によって変わりますが、当たりやすい馬券の種類ほど、控除率は高くなり、払戻率は低くなるように設定されています。単勝や複勝のように1頭を選んで当てる馬券だと控除率は低く、3連複や3連単のように3頭を選んで当てなくてはいけない馬券だと、控除率が高くなっています。
控除率が高いということは、賭けた人のもとに払い戻される金額が少なくなるのではないかと感じ、損していそうにみえますよね。しかし、当たりにくい馬券というのはオッズ(予想配当率)が高いので、控除率が高くても払い戻される額は大きくなりやすいのです。

競馬の控除率・還元率・回収率の違い

競馬の控除率・還元率・回収率の違い

競馬の控除率についてご紹介してきましたが、そのほかの気になる競馬用語についてもみていきましょう。

競馬における還元率とは

競馬における還元率とは、掛け金の総額のうち、賭けた人たちに還元される金額の割合のことです。還元率は払戻率とほぼ同じ意味で、控除率+還元率=100%(掛け金の総額)となります。先ほどご紹介したとおり、競馬の還元率(払戻率)は主催者が決められた範囲内で馬券の種類ごとに設定しています。

競馬における回収率とは

回収率とは、競馬などのギャンブルにおいて、使った金額に対して回収できた金額の割合のことです。たとえば、1,000円分の馬券を購入した結果、当たった金額が1,000円であれば、使った分のお金をそのまま回収できているので、回収率は100%となります。ですが、1,000円使って当たった金額が500円だったら、回収率は50%。当たった金額が2,000円なら回収率は200%となります。回収率が100%未満なら損をしていて、100%なら差し引きゼロで、101%以上なら勝っているということになりますね。
回収率は以下の計算式で割り出すことができます。

回収率(%)= 当たった金額 ÷ 使った金額 × 100

競馬における寺銭(テラ銭)とは

競馬の控除率とは何かを調べてみると、「寺銭(テラ銭)」という言葉を目にします。寺銭とは、ギャンブルにおける胴元の取り分のことです。競馬における寺銭とは、JRAや地方競馬など、掛け金の総額のうち各主催者に入る金銭のことを言います。
江戸時代に賭博場を開く貸し主が得るお金のことを寺銭と呼んでいたことから、現代でも一部の人は、競馬や競輪などの主催者が得るお金のことを寺銭と呼んでいます。寺銭の由来については、寺が賭博場として使われていたから、寺の建立費用を得ることを目的にしていたからなど、諸説あるようです。

競馬は控除率のせいで勝てない?

競馬は控除率のせいで勝てない?

競馬は控除率が20~25%で設定されているため、「運営にそんなに持っていかれたら勝てない」と思ってしまいますよね。しかし、宝くじのように完全な運で勝敗が決まるギャンブルとは違い、競馬は馬や騎手の能力、天候による影響やコースなど、さまざまな判断材料をもとに予想を立てることができます。こういった分析をして技術介入できるギャンブルだからこそ、競馬は控除率があっても、うまく賭けていけば勝つことができるギャンブルなのかもしれません。

まとめ

競馬における控除率は大体20~25%ほどですが、控除されたお金は運営費以外にも社会福祉などに役立てられています。控除されたお金の使い道を知ると、競馬への見方が変わってくるのではないでしょうか?競馬の控除率や還元率などの仕組みを知ると、より競馬が楽しくなってくるかもしれませんね。