科学的な観点から見る「相性診断」の最先端3

科学的な観点から見る「相性診断」の最先端3

前回の「科学的な観点から見る「相性診断」の最先端2」では、ホロスコープにおける「相性」の科学的な根拠についてご紹介しました。

実際に天体力学について勉強していれば、驚くほどにホロスコープの見方と合致する宇宙空間内のエネルギーの状態について、占星術の分野ではほとんど触れることがありません。実際みなさんも、その見地から書いている記事はほとんど見たことがないのではないかと思います。

しかし、現実の天体間のエネルギーのあり方について知っておくことは、「なぜホロスコープがこの条件下の時に○○な効果が生まれるのか」ということについての理解を深めることになります。ホロスコープは「単なる占い」ではありません。
「天体力学と占星術の橋渡しをする研究者がいないために解明されていないだけの科学」です。
どうぞそのことを忘れずにいてください。辛いときに占いにすがるのは医者を頼るようなものです。

もちろん解明されていない科学ですから、統計学としての実績以上のエビデンスがないのは確かです。しかし、荒唐無稽な怪しいだけの学問ではない、きちんと研究すればきちんと根拠があるものだということは頭においておいていただきたいと思います。

さて、前回、天体同士の関係性(占星術の用語を使えばアスペクト)が、天体力学上の概念であるラグランジュ点に基づくものであるということについてお話ししました。今回は、このラグランジュ点について詳しく見ていきましょう。

■ホロスコープと科学を結ぶラグランジュ点

ラグランジュ点とは、天体力学において、天体と天体の重力の影響の釣り合いが取れる、「宇宙の中でその場所に物体があるとその物体が安定してその場所にいることができるポイント」のことであるということを前回お話ししました。

公転軌道上に乗った天体は、遠心力がはたらいているため、少々の外力がはたらいてもその軌道から逸れるということはありません。しかし、遠心力がはたらいているとは言っても、惑星同士は常に公転軌道上で互いの位置を変えていますから、その時々で安定感は異なります。

「あー今めちゃくちゃ安定してるなー!今の惑星同士の位置関係最高だなー!」という瞬間もあれば、「今けっこうギリギリで安定してるよ……あとちょっと別の外力が加わったら公転軌道から外れちゃうかもしれないよ……」という瞬間もあるわけです。

例えば、足場の悪い場所でぐるぐるとバケツを回している状態であると仮定すると、回転させている円の中でスムーズに回すことができる瞬間と、足元がおぼつかなくて回転させるのにより力がいる状態になってしまう瞬間、という違いがあるはずです。天体の回転も同じなのです。

このように、二つの天体同士の関係性において、運動エネルギーの状態が不安定になる時と安定する時というのが存在します。それは天体同士の角度によって決定するもので、それについて論じたものが前述のラグランジュ点ということになります。

■ラグランジュ点=吉角度

ラグランジュ点は、具体的に言うと、2つの天体のそれぞれの重力とその遠心力が釣り合った、力学的にエネルギーのバランスがとれている宇宙空間上の地点のことです。

このエネルギーのバランスが取れている地点は、2つの天体の近くに5つ存在します。これらの点は、太陽と木星の関係性において古くから発見されていましたが、その後フランスの数学者であり天文学者であるジョセフ・ルイ・ラグランジュが天体力学の理論の一つとして確立させました。このため、彼の名にちなみ、この地点をラグランジュ点と呼んでいます。

5つのラグランジュ点のうち、2つの天体を結ぶ直線上にある3つのものをL1、L2、L3とします。
また、2つの天体を直線で結び、公転している天体Aの公転軌道(つまりは天体Aを円周上の点、天体Bを円の中心とする円です)において、2天体を頂点とする2つの正三角形を描いた場合に円周上に取られる2つの頂点をL4、L5とします。

目で見た方が早いと思うので、以下のサイトの最初の画像を見て見てください。

JAXA はやぶさ2プロジェクト 太陽−地球系のL5点付近の観測について

この画像ではL4とL5しか描かれていませんが、地球と太陽を結ぶ直線を更に伸ばして円の直径を描いた場合、その線上にL1、L2、L3が位置することになります。

L4とL5は、力学的にとても安定した点で、この場所に天体があるとその場所で落ち着きやすい場合になります。リンク先の記事でも書かれていますが、小惑星ちりの粒子が集まりやすく、例えば太陽と木星のラグランジュ点には数千個以上の小惑星が存在しています。

このように、天体から60度の角度にある地点はエネルギー的に安定した場所ということになります。更にL4とL5両方に天体があった場合は2つの天体の関係性は120度になります。60度も120度もソフトアスペクトです。ホロスコープにおける吉角度というのは、実は科学的に根拠のあるものなのです。