【芦屋道顕】真似すべからず。しかし興味深い…死神を欺き死を免れる呪法とは?【現代の呪2】(ページ2)

秋分が過ぎて、すっかりこの夏の暑さも収まってきた。秋風と共に、来年の気も流れ込み始めたのう。

さて、連休中に帰省して実家の蔵を漁って、また祖父の蔵書や古い記録から、面白い霊的逸話や呪法を仕入れてきたぞよ。

古来より伝わる呪法の中でも非常に需要が高く、しかしたびたび失敗したゆえに使われなくなった『死神を謀る(たばかる)呪法』がある。

これは、より分かりやすく言うならば「死期が迫った人間を死神が連れにきたとき、死神の目を欺いて(あざむいて)死を免れる」ための呪法を紹介するぞ。

■偽装の『葬儀』を執り行う

ある老舗旅館の跡取り娘が、まだ二十歳にもならず原因不明の病で長く床につき、今にもその命の火が消えそうになっていた。愛娘の病を治してくれるなら誰でも良いと、旅館の主人は最初は名の知れた医者を連れてきていたが、次第に怪しげな民間療法や祈祷師にも頼り始め、神頼みも悪霊祓いも何でも試したが、どれも効果がなかった。

しかし、死神もそれを哀れに思ったのか、旅館の主人の夢枕に立ち「何をしても無駄だ。次の新月の引き潮の時刻に、娘は連れて行く」と予告をしたそうじゃ。

【芦屋道顕】真似すべからず。しかし興味深い...死神を欺き死を免れる呪法とは?【現代の呪2】

主人と面識のあったある陰陽師は、その夢の話を聞かされると、すぐに娘の葬式の準備をするようにと主人に告げた。

縁起でもないとは思ったが、その陰陽師が最後の頼みの綱と、主人は言われた通りにした。娘の死を予告された次の新月、引き潮になる時刻の1時間前にはまだ息のある娘に陰陽師から与えられた薬を飲ませ、死装束を着せ棺に納め、喪服に身を包んだ一族の見守る中で僧侶も到着し葬儀を始めた。読経が始まり、誰もが悲しみの表情を浮かべていると、どこからやってきたのか黒装束に身を包み、頭巾で顔を隠した男が現れた。「おや、なんとしたことか。もう葬儀が始まっているとは」黒装束の男は棺につかつかと歩み寄り、娘の顔を覗き込んだ。

娘は陰陽師にもらい受けた薬の効果で息が止まり鼓動も聞こえず、肌は土気色に、唇は青ざめていて疑いようもなくその見た目は死人であった。黒装束の男は娘が息もせず鼓動もないのを確かめると、「この娘の死は早まったのだな。ほかの者がすでに連れていったのか。手間が省けた」と呟いた。そして、皆の見ている中で手帳のようなものを取り出すと、そこに書かれていた娘の名を筆のようなもので黒く塗り潰し、それから黒い煙となり立ち消えた。

偽の葬儀はそのまま最後まで執り行った。葬儀が終わり親族は皆帰路に着いた頃、薬の効果が切れて娘は目を覚ました。その後、娘はすっかり元気を取り戻したのだという。

この時行った偽の葬儀こそ、死神の目を誤魔化すための呪法であった。死神が来る時刻が分かっていたならば、死を免れたい者にその時刻を挟んで一定時間、仮死状態となる薬を与え、本物同様の葬儀を行う。

死神は実は複数いて、それぞれどの死者をいつ迎えに行くかは担当が決まっているそうじゃ。そして、手帳にその名前を書き込んでいる。人の死期は不変のはずが、ときどきは忙しくこの世を飛び回る死神それぞれの手違いで順番が入れ替わったり担当とは別の死神が迎えに行くこともあるのだという。この呪法はそのような死神の勘違いを狙うたもの。迎えにきた人間が、予定時刻にすでに亡骸となり葬儀が行われているのを観れば、死神は己が時刻を間違え、魂は連れ去り済み、つまりは任務完了と思うてあの世に連れて行くリストから消してしまうのじゃ。

不思議なもので、まだ生きている人間を死んだことにして葬儀を行い死を免れんとする手法は古今東西、離れた大陸の交わりのない人種や民族、何世紀も離れた時代で形を変え目的を変え、たびたび行われている。ゆえに、ただの迷信、伝承とはいえやはりある程度の効果があったのやもしれぬ。

【芦屋道顕】真似すべからず。しかし興味深い...死神を欺き死を免れる呪法とは?【現代の呪2】

もう一つ、葬儀を行う以外では、死神に目を付けられたら、名前や性別、容姿を変えて別人に成りすます呪法もある。死神の手帳には『芦屋道顕 男 平成7年◯月◯日生まれ 父:芦屋◯◯ 母:芦屋◯◯』と記載があれど、いざ迎えにきたならばそこにいるのは髪が長く女の服を着て、生年月日も性別も名前も両親の名も異なる者がいるとする。そして、手帳にあった名の者はいない。となると、死神は「何かの手違いで、この名の者は存在しない」とみなし、やはり手帳から名を消してしまうのじゃ。

なんとも小手先の呪法で頼りなく思えるが、死神だけでなく鬼や怨霊もこのような人間の計略にまんまと騙され、人間が難を逃れた話は多々あるのじゃぞ。

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