結婚は人生を左右する、その理由を考えてみた
「結婚は人生の墓場だ」という言葉をきいたことありますか?幸せな二人にみずをさすような表現ですが、気楽な独身生活を過ごしてきた人にとっては、そう感じてしまうのも一部うなづけます。
著しい環境の変化はストレスにもなりますが、一生のパートナーを見つけられたのですから、人生をより豊かにしていけるチャンスでもあります。
その明暗を分けるのは結婚相手のスペックだけではありません。どんな条件でも結婚は楽しい事ばかりとはかぎらず、お互い年もとれば病気にもなります。そしてほとんど場合独身時代よりも不自由になりますし、気を使う事もふえるからです。
結婚による環境の変化を、自分を縛る墓場とせず、豊かな人生を掴むチャンスにするために昔から言われているコツを3つにまとめてみました。
ステップ1:結婚や恋愛をゴールにしない
映画や小説なら、結末が主人公とヒロインの結婚である事がしばしばあるため、結婚をゴールインなどと表現する時もありますが、現実は人生も恋愛も何ひとつゴールしてないのが結婚です。
恋愛中のドキドキや・プロポーズ・結婚の準備など、結婚までには色々な過程をふむのでよけいに結婚への期待やゴール感は高まりますが、そのために現実の結婚生活を物足りなく感じてしまうこともあるようです。
このギャップに耐えられなければ、後はどんどん嫌な所ばかりが目についてしまって独身時代のようにもっと自由でいたかったと後悔してしまう事もあるでしょう。
昔から結婚式などで使われている表現に、「2人の門出を祝う」という言葉があるとおり、結婚は出発であり、どちらかというと新しいスタートの方があてはまります。
結婚後に起こる様々なアクシデントは、結婚をゴールだと思う人にとってエラーであり予想外の大きな危機ですが、スタートだと思えば当然起こりうる課題であり、未来に楽しく話せるような人生のスパイスになります。
ステップ2:愛情と所有欲を見分ける
結婚に際してカップルの二人が永遠の愛を誓いますが、実際は人生においては何が起こるか解らないというのが実情です。むしろ愛情がからむからこそちょっとした事でケンカになってしまう事も。
実際カップルの時はそうでもなかったのに、結婚したとたん束縛し始めてしまうケースが男性にも女性にもあり、せつない事ですがそれで結婚生活が上手くいかなくなってしまうケースもあるようです。
カップルが夫婦になったときに、永遠の愛を当然のものと思い込んでしまう部分があるのかもしれません。好きだからこそ冷静になれないものですが、それを自覚するだけでも破局を緩和することができます。
フランスの文豪サン・テグジュぺリは、その作品の中で愛情と所有の陶酔を一緒にしてはいけないとよびかけました。
“人々は愛に苦しめられるのだと思っているが、そうではなく、その反対のものである所有欲に苦しめられるのである。本当の愛は、もはや何一つ報酬を望まないところに始まるのだ。” /サン・テグジュぺリ『城砦』より
個人的には、少しぐらいは報酬を望んでも大丈夫とは思いますが、求めすぎには注意した方がよさそうです。せっかくの愛情ですから、最初のころの顔を見ただけで幸せを感じられるような純粋な心も大切にしたいですね。
ステップ3:結婚を人生の酒場にする
結婚のネガティブな部分ばかり話していると、なぜ人間が結婚するのかがそもそも解らなくなってきます。
それこそ古代は環境が厳しくて家庭を築かなければ生活がままならないという事もあったでしょうが、今はそうでもありません。良くも悪くも自由で豊かであり、結婚する時の様々な環境の変化はその自由や豊かさを奪ってしまうのではと怖くなります。
そういう時代だからこそ「結婚は人生の墓場だ」という言葉も生まれたわけですが、SF作家の星新一は結婚式の祝辞に、「結婚は人生の酒場だ」とう言葉を送りました。
”結婚は人生の酒場でありまして、楽しくなくてはならないところなのです。休業になっては困るのであります。おふたりが酒をお好きかどうか存じませんが、しあわせな気分に酔い、かつ、ひたるところです。”
結婚には責任がともない独身の時と環境が変わる事もありますが、それで自由や豊かさがなくなると感じるのは間違いです。現実は完全なバラ色ではないにしても、しあわせな気分に酔う時間を一つ一つ大切にして全体的に見るとバラ色というふうにしていくものなのかもれません。その方が得なのは確かでしょう。
強烈な環境の変化に負ければ墓場、立ち向かえば門出
結婚は人生の中でもとてもインパクトのある繊細な問題ですが、結婚後も長い人生がまっています。それに立ち向かう出発の覚悟と、欲望に振り回せれない純粋な愛情、そして一緒に酒場を楽しむような気楽さをもっていきたいものですね。