じぶんの太陽がキラキラ輝く魔法の習慣㉑【by なつめ】スリランカ*コロンボ旅行記

《ショートショート小説》

 

人格を変える、変容をもたらす国・サソリランカ共和国

 

さそり座は死と再生、変容の星と呼ばれているが、この土地では

自分にないものをもつ他者と深く関わり、

一体化することで別人になる体験をすることになる。

 

サソリランカは長い間続いていた内戦が終わり、豊富なハーブ、アーユルヴェーダ、

宝石、手つかずの自然と自然動物に魅了された観光客が世界中から集まってくる。

いま、まさにゴールドラッシュの国なのだ。

都市部では一獲千金を狙う若者で溢れかえっている。

 

エリコがサソリランカの空港に降り立つとそこはムワーっと

ココナッツの香りがした。心臓がバクバクして少しくらくらしたが、エリコはすぐに

いい気分になった。

 

エリコは先月5年半付き合ったタケルから

「もっと意思のはっきりとした芯の強い女性だと思っていた…」

と一方的に別れを告げられた。自由でいたいんだ…、とか言っていたが

もうすでに、タケルは新しい彼女と付き合い始めていることをうわさで聞いていた。

 

わざわざ新しい彼女のことを教えてくれる友人が言うには、

どうやら『いつもアイラインを目尻からはみ出して長く描く、

気の強い独立心旺盛な女性にタケルは振り回されている』ということだった。

 

エリコはひとりではなんにも出来ない依存心の強い女だった。

なにをするにも自分で決められず、タケルがいないとなにもできなかった。

職場でも気に入らないことやみんなが嫌がる仕事を人から押しつけられることが多く、そんな時には

「人が喜ぶんだったらそれでいい。自分が我慢すればいいことなんだから…」

と自分に言い聞かせて満足するようなタイプだった。

 

そんなエリコはこれから強くなるのだと傷心を抱え心機一転、

添乗員のいるパッケージツアーではなく、フライトチケットからビザ、ホテルまですべて自分で手配し、

行き当たりバッタリのノープラン一人旅に出ることにしたのだった。

 

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