背徳の愛に、羨望。「私の男」 【ネタバレ有】

 
世界中でタブーとされる「近親相姦」。
それを前面に出した問題作『私の男』は読みましたか?

2014年に映画化したことで初めて原作を手に取った方も、
改めて読み返した方もいるでしょう。

直木賞を受賞し、高い評価を得た本作品ですが、たいていの女性の読後の感想は
「気持ち悪い」
 

syouhingazou
出典:Amazon

賛否両論ある作品ではありますが、個人的には人間の本質的な欲求である「自分にないものを求める」究極の姿が描写されていると評しています。

この作品が発表された2007年、
豊かな表現力を持つ”日本語”というツールが存在することに感謝しました。

日本語だからこそなし得た「気持ち悪い」ほど緻密に描かれた禁忌に、
幻想など打ち消されるような”愛”を目の当たりにすることでしょう。