【芦屋道顕】真似すべからず。しかし興味深い…死神を欺き死を免れる呪法とは?【現代の呪2】

秋分が過ぎて、すっかりこの夏の暑さも収まってきた。秋風と共に、来年の気も流れ込み始めたのう。

さて、連休中に帰省して実家の蔵を漁って、また祖父の蔵書や古い記録から、面白い霊的逸話や呪法を仕入れてきたぞよ。

古来より伝わる呪法の中でも非常に需要が高く、しかしたびたび失敗したゆえに使われなくなった『死神を謀る(たばかる)呪法』がある。

これは、より分かりやすく言うならば「死期が迫った人間を死神が連れにきたとき、死神の目を欺いて(あざむいて)死を免れる」ための呪法を紹介するぞ。

■偽装の『葬儀』を執り行う

ある老舗旅館の跡取り娘が、まだ二十歳にもならず原因不明の病で長く床につき、今にもその命の火が消えそうになっていた。愛娘の病を治してくれるなら誰でも良いと、旅館の主人は最初は名の知れた医者を連れてきていたが、次第に怪しげな民間療法や祈祷師にも頼り始め、神頼みも悪霊祓いも何でも試したが、どれも効果がなかった。

しかし、死神もそれを哀れに思ったのか、旅館の主人の夢枕に立ち「何をしても無駄だ。次の新月の引き潮の時刻に、娘は連れて行く」と予告をしたそうじゃ。

主人と面識のあったある陰陽師は、その夢の話を聞かされると、すぐに娘の葬式の準備をするようにと主人に告げた。

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