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己ではないものが己の身体に入り込めば、やはりふだんとは異なる行動をするもの。すぐにでも命を奪われる凶悪な霊や怪異による憑依はめったに起きぬが、それらに憑かれると本人にも傍目にもそれと分かる違和感や異常行動があるゆえ、急ぎ対処できることも多い。
逆に、凶悪ではなくジワジワと憑代となった人間の精を吸い取りあるいはその身体を使うて想いを遂げようとする霊や怪異の仕業は、本人も他人もそのせいと気付きにくく、単に性格が徐々に悪くなった、生活習慣が怠惰になったなどと思われがちである。
そして、憑依に誰も気付かぬまま本人は己ではないものの意思を己のものと思い込み、周囲は「あいつは変わってしまった」と、性格のせいにして容赦なく去りゆく。ゆえに、実害は少なくみえる軽い憑依にこそ、