【恋と暴力】
「デートDV」という言葉をご存知でしょうか。
この場合のDVとは「ドメスティック・バイオレンス」を意味し、親しいパートナーのあいだでの支配/非支配関係を指しています。
支配とは、相対的な意味での強者による相対的な弱者に対する人権の蹂躙です。
つまり、デートDVとは、単に「デートの際の暴力」を超えて、恋愛状態にあるふたりのあいだに起こる支配や虐待の状況すべてを示す言葉であるわけです。
パートナー同士の恋愛関係は、しばしば甘い陶酔と幸福感に満ちたものですが、一方で常にデートDVの危険性を孕んでいます。
自分には関係ない? いいえ、もしあなたが何かしら恋に興味を抱くなら、デートDVについて知っておく必要があります。なぜなら、デートDVとは、単に「粗暴な男性による暴力」を意味しているわけではなく、広く恋愛関係一般に含まれる関係の病理そのものであるからです。
どんな幸せな恋にも、デートDVの種子は存在しています。仮にあなたのパートナーが、文句のつけようもなく心優しい人物であるとしても、あなた自身がデートDVの加害者になることもありえます。
そんなことがあるはずがないと切り捨てる前に、ちょっと考えてみてください。パートナーの前で声を荒らげたりしたことはありませんか? あるいは、相手の行動を制約しようとしたことは?
恋人同士なのだからそれくらいのことはあってあたりまえ? それは違います。どんな形であれ相手の行動を支配し、束縛しようとする恋愛心理は、それ自体が既にデートDV的です。