腸とはいったいどんな働きをする器官なのでしょうか。ご存じの通り、便の通り道ですね。また、胃で溶かされ分解された食物を吸収する器官でもあります。腸は食物を吸収して便として運ぶだけではなく、体の健康のためにとても大切な役割を担っているのです。今回は、知っているようで知らない腸の実態に迫りながら、体の中から美しくなる方法を見ていきましょう。
美容のために大切な腸内環境
腸は美容と密接に関わりのある器官です。腸というと、便秘を連想する方も多いかもしれませんね。便秘は美容の大敵ですから、腸の動きを活発にして便秘にならないように気をつけることは大切なことです。
便秘にならないためには食物繊維を多く摂る、運動をして腸の蠕動運動を促すなどの方法があります。
そして、もうひとつ大切なことがあります。それは腸内環境を整えることです。
腸内フローラという言葉、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。腸内には悪玉菌や善玉菌を初めとする細菌がたくさん住んでおり、それら細菌の集まりを腸内フローラといいます。
腸内環境を整えるには、これらの腸内フローラが正常なバランスでなければなりません。腸内フローラのバランスは、健康や美容にとってとても大切なことなのです。
腸内の腸壁はまるで細菌のお花畑
腸の中にはいろいろな菌が住んでいます。菌どうしで連なっていたりばらばらだったりと、その形状も集団も実に多様です。
一人のヒトの腸内には100種から3000種類の細菌が100兆個から1000兆個の腸内細菌が長さ約10mの腸内に生息しており、重量にすると約1.5-2kgに相当する。一般にヒトの細胞数は60-70兆個程度と言われており、細胞の数ではその16倍に匹敵するだけの腸内細菌が存在することになる。
引用 腸内細菌- ウィキペディア
60兆の細胞を遙かに上回るほどの細菌が、腸内の壁にはお花畑のようにびっしりと生息しているのです。ちなみに、腸内フローラのフローラとはお花畑という意味。腸内には細菌のお花畑がある、というわけですね。
腸内細菌の役割とは?
これらの菌を大きく分けると、善玉菌・悪玉菌・日和見菌の3種類になり、理想のバランスは2:1:7とされています。
・善玉菌
全体の15%ほどで、乳酸菌やビフィズス菌など体に良い働きをする菌です。善玉菌はビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6などのビタミンを作り、免疫機能を助ける働きをします。
乳酸菌やビフィズス菌などを摂取すると免疫力が高まり健康に良いと言われるのは、この善玉菌の働きによるものなのです。
・悪玉菌
全体の10%ほどで、ウェルシュ菌・ブドウ球菌など、体に悪い影響を及ぼしてしまう菌です。腸内のタンパク質を腐敗させる、発がん性物質や毒素を作り出す、善玉菌の働きを抑制してしまうなど、体に悪い影響を与えてしまう菌です。
悪玉菌が増えると、便秘や下痢になりやすくなる他、風邪や感染症にも罹りやすくなってしまいます。
・日和見菌
善玉でも悪玉でもない菌が日和見菌で、全体の75%を占めています。大腸菌やバクテロイデスなどがこれに当たります。健康な状態の体なら日和見菌は無害なのですが、善玉菌か悪玉菌のどちらかが優性になると、「長いものには巻かれろ」と強い方についてしまうどっちつかずの菌なのです。
つまり、善玉菌が優勢だと良い行いの手伝いをしてくれるけれど、悪玉菌が優性になると、途端に悪事に荷担してしまうという菌なのです。まるで腸内フローラは人間社会の縮図のようですね。