10月にインド洋に浮かぶ1000以上の珊瑚礁の島々からなるモルディブに行ってきました。
成田発、スリランカ、コロンボ空港で乗り換え、モルディブのマレに到着したのは夜の8時頃。
Booking.comでホテルの予約をしていたので、ちゃんと空港にホテルまでの送迎の係りの方が待っていてくれるのか心配でしたが、問題なく同じホテルの宿泊者グループと合流することができました。
高速ボートで約一時間かけて向かうホテルのですが、この日は波が高く船が出なかったため空港近くのホテルに宿まることに…。あたりは真っ暗で期待していたプール色の海はおあずけに。
翌朝目を覚ますと空も海も青く透き通っていました。
ホテル専用の船に乗り込むと勢いよく波の上をジャンプしながらスピードボートはホテルへ向かいます。
これは想像以上にダイナミックでした。その場になるまで予め知らないのがいいのだと思いました。
私は、海の見える部屋で読書をしたり部屋の前の海でシュノーケリングを楽しみました。
この下の2枚の写真は景色を撮影したものだったのですが、
アクシデントで魅力的なふたりが写っていました。
いい写真になったな~と思っていたら、ショートショートが浮かんだのでストーリーを書いてみました。 タイトルは『ハグ島』です。
1 、まずこの写真から↓
2、もう一枚パチリと… その時は、もちろん景色しか見えていませんでした。↓
『謎のハッピーアイランド☆
ハグ島』
空港から高速ボートで一時間ほど走ると、目の前一面に透き通ったラグーンに囲まれたハグ島という摩訶不思議な現象の楽園が現れる。
一見なんの変哲もないリゾート地なのだが、ここにハネムナーが訪れることはめったにない。
この島にはパワースポットと呼ばれる惑星グリッド網が島一体に覆いかぶさっていて、
生態系は独自の発達をしており、あらゆる生物は一歩その島に足を踏み入れた瞬間から
引き寄せ網にかかった魚群のようにそのパワーから逃れることができなくなるらしい。
どういうことかというと、その島では敵意を抱いたふたりに見えない引力が働くのだ。
火花が散れば散るほどその引き寄せの力は加速度的に強まり、二人の物理的距離を縮めることになる。
ど根性ガエルのピョン吉のついたTシャツを着たかのように二人は互いにぐいぐい引きずられていき至近距離に達し、最後にはハグしてしまうのだ。
すると瞬間的に『ビリビリ!!』と電気が流れたかのように心が交流してしまう。
そのほとんどがその磁力に逆らうことはできずにそのままめでたくゴールインとなってしまうらしい。
私たちは結婚式で恋愛か?見合いか?という質問をするのだが、ここでは、
ハグったのか?ハグられたのか?となるらしい。
先祖代々その島に住む住人たちにネガティブな感情はない。
長い年月の中でDNAの進化に組み込まれている。
そこでは愛し合うふたりだからといって結ばれることもない。
たとえそのようなカップルがいたとしても、最終的に
ほかの異性にさらわれてしまう悲劇に見舞われるからだ。
ハグ島では年に一度、特別な儀式が執り行われる。
その日だけは、故意にハットトリック的なパワーを使うことを許される。
瞬間的に強烈な嫌悪感を放出してお目当ての異性を引き寄せ射止めるのだ。
なので、その日のためにふだんは好きな異性に好意を抱くことをしないように節制して暮らしている。
ふだんは牛のように穏やかでいながら、この日だけは獰猛なライオンのような想念になるのだ。
ここは悟りを開いた修行僧の境地とも言える精神性の高い人種のるつぼなのである。
この島は宗教性というものが一切ない。にもかかわらず犯罪は一切起こらない。
警察もいない。人間の秩序を守るための神をも必要としないのだ。
支配する側、される側というものもない。
ふつう、南国の島と言うのは開放的で野性的な民族が多いのだがこの島に限ってはそうではなない。
この島のDNAは敵意を抱くような生理的に受けつけない苦手な相手同志によって
結ばれた婚姻関係から生まれた子孫たちだからというのも原因のひとつであろう。
ゆえに、寛容で忍耐強い。
そして、善良で紳士的な性質であるのだが、
突然変異で生まれたような粗悪でわがままな嫌われ者がモテるのがこの島の特徴だ。
このへんのカリスマというのは私たちと共通する部分かもしれない。
大きな違いはというと、ハンサムや美女、心優しく人気のある男女がモテずに売れ残るのである。
最近では、ハグ島の不思議なパワーに関心が集まり、世界中から観光客が訪れるようになった。
とくに、社員旅行でこの島に訪れると結束が固くなり業績がアップすると評判になっているという。
そして団体客のなかには、意外性のあるカップルやデキちゃった婚も多発しているらしい。
ハグ島に合宿場を作って寝泊りする宗教団体やスピリチャルグループも増えてきている。
二極化の解消が早く進み輪廻解脱できるのだと教祖が奨めるそうだ。
【終】