じぶんの太陽がキラキラ輝く魔法の習慣⑬【by なつめ】 『かけがいのない、ほかに代わりはない希少価値の存在だとわかる瞬間』

じぶんの太陽がキラキラ輝く魔法の習慣⑬【by なつめ】    『かけがいのない、ほかに代わりはない希少価値の存在だとわかる瞬間』

かけがいのない、ほかに代わりはない

希少価値の存在だとわかる瞬間

 

おじさんはとても人懐っこい人だった。

よく電話をもらっては山へなにか採りに行こうと言う。

私は山にはさほど興味がないので、10回誘われて9回は行かないと言っていた。

それでもみょうがや筍、梨も採りに連れて行ってもらった。

 

おじさんは鉄砲撃ちが好きでよく私もやったらいいよと、

鹿をしとめる話を上機嫌になってしてくるのだが、

私はそのテの話がきらいで、いつも「もうー嫌だからやめてよ!」

というのに、次に会うとまたその話だった。

 

9/5に電話をもらい山へ行く約束をした。1年ぶりの梨狩りだ。

 

「忘れんごと、カレンダーにつけとかんね」と言われ、

9/19の敬老の日に印をつけた。

コスモス

忙しく時間に追われていたりもしていたので、リフレッシュに飢えてきて

だんだん日にちが近づくごとに山が待ち遠しくなっていた。

 

いつもは前日になると明日が楽しみだよ~の確認メールが入るのにその時はなかった。

雨が降っていたので明日はどうなるのかと電話をしたが応答がない。

切ろうとボタンを押すと画面が真っ暗になって反応がなくなった。

しばらく呼び出し音を鳴り響かせ続け切ろうとしたがうまくいかない。

なんとか電源をオフにすることができた頃にはとうに50コールくらい鳴らせてしまった。

恥ずかしくなったのでお詫びもかねて明日のお伺いメールを送った。

 

めずらしく折り返しもメールもなかった。

 

明け方の3時にメールが鳴った。画面には

「〇〇の娘です。父、〇〇は13日に亡くなりました。突然のメールですみませんが、

お約束をされていたようなのでお知らせさせてもらいました。」

 

 

しばらく意味がわからなかった。

 

だんだんおじさんはもういなくて会えないのだということがわかってきた。

 

電話をかけた時を思い出した。

あの吸いこまれたかのような無反応な携帯の真っ黒な画面は、

おじさんが行けなくなってごめんと最後のお別れを自分で伝えようとしたのか。

 

泣きながらも、朝になったらおじさんから「下にきとるよ~山行くぞ~」

と呼び出されるのではないか、睡眠不足で山はきついのを想像して気になった。

けれど、とうとう携帯は鳴ることがなかった。

 

上野公園1

1年以上前のある時、車の助手席に乗っている時に

おじさんの携帯が鳴ったことがあった。

ちらっとみて、「飲み屋のおなごやん!!」と言った。

 

おじさん曰く、お酒を一滴も飲めないけれど付き合いで

飲み屋に連れて行かれた。で1万円を置いてすぐに店を後にしたらしい。

そしたら、こげんかことになったと話していたが、

その後もひっきりなしに電話がかかってきては、

「あちゃーと」言って携帯をみなかったことにしていたのだが、

私もおじちゃんに返事もしないことが多かったのでその様子がなんとも面白かった。

 

定年退職してからも持ち前の気立てのよさでガソリンスタンドで週4日アルバイトをしていた。

休みの日は山か川へ行く。

 

 

川にうなぎ釣りに行き、釣れてはうなぎば焼いちゃるとメールが来る。

すでにさばいて冷凍してあるうなぎを目の前で焼いてくれた。

今までに味わったことのない肉厚で脂ののったうなぎの蒲焼だったのが

その時になんともなまなましく感じて、

うなぎはうなぎ屋さんで食べるのがいいと思い

それからはうなぎはいらんと言うのに、

釣れると何匹釣れたけん、持っていっちゃるとメールが来ていた。

 

占星術は4つのエレメントがあり、火と土と風と水がある。

私は風のサインが強い。

風のサインの水瓶座はひとつ前の山羊座の土のサインの

社会的なローカルな集団世界の価値観を否定して生まれたサインで

空間性に捕われることを嫌う。より遠く離れた相手とのつながりを感じるような

くっつかない愛情を好むところがある。

ネットとかで離れた相手と共感するのがしっくりくる。

 

おじさんも風のサインが強い人で、私の太陽とか月に木星を乗っけてくれる

存在で、ふたりはひっつかずに盛り上がれる関係だったのだ。

それは会話がかみ合わなくてもなんの問題もなく盛り上がれることを意味していた。

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利害関係はまるで0。ただ付き合って楽しい。

どこかに元気でいてくれたらいい、というようなからっとしていて熱い

そんな空気のようなものだった。

 

それ以上もそれ以下もない。だから、好き勝手なことや

嫌なことは嫌だとか平気で言っても関係性は永遠に続く。

この水瓶座の風のご縁というのは離れて自由でいるほど親密で仲の良いという縁だ。

 

親子や恋人、結婚の縁はより実利的で共通の利害関係などを

共有しないといけない運命共同体のような縁だけど

 

おじさんとの風のご縁は利害がなくただそうしたい…

というような気持ちだけで成り立つ。

 

どちらが強い縁かというのは比べられないと思う。

どちらも縁の強い相手なのだ。

 

恋愛関係の相手は終わってしまえばその後会わなくなることもあることを想えば

永遠に終わらない安心できる相手だっただけに

希少価値で大切なものだったのだと今になって気づいた。

 

 

おじさんの話す鉄砲撃ち、獲物を追いかけている時は

胸が高鳴ってたまらないそうだ。引き金を引く瞬間が

「ドキドキドキ」となり、当たったかどうか!?という瞬間「ドキーン」となる。

と同時に「あっ、やってしまった~」と

ものすごい後悔の念にいたたまれなくなるらしい。

それからは、そのまま放置するわけにはいかないので

車に積んで手間のかかる後処理をしないといけないことになる。

やめておけばよかった、と毎回思うそうだ。

 

いつも誰にでも人懐っこく親切なおじさんと鉄砲撃ちは

ミスマッチの気がしていたのだが、

風のエレメントの天秤座の火星を中心として、

月、木星との幸運の大三角形と

大きな試練のTスクエアを火星と天王星と太陽でもっていた。

それらは父親と自身の確執をも生み出す。

 

温厚な性格なのになぜか子供の頃ライフルを買ってくれなかったというだけで、

ずっと父親を恨んでいたらしい。それに弟ばかりを可愛がっていたと。

こうやって狩りをすることでこの激しいエネルギーを

消化しようとしていたのかもしれない。

そこに月や太陽の重なる私にしきりに話をしたくなっていたのだろう。

 

私はひとり風のサインが強くて家族の中で浮いてしまっていたが、

おたがいの影の部分もどこか感じ取ることができて

見えない交流もしていたのだと思う。

 

どこか近所の道端でですれ違うと、こん前あそこば(車で)走りよったやろ、と

言ってくる、(私は気づいていない)

 

私の知らないところで見られることがあまり好きではなかった私に、

いつもそれを繰り返すおじさんだった。

 

でも、もうそんなことを言ってくる人もいないのだと。

 

いつもどこか近くにいる。

いつだって会える、

 

30年近くずっとあたりまえにあるものだと思っていた。

おじさんの代わりはもうどこにもいないことに気づいて、

ぽっかり胸に穴が開いたのを感じた。

 

その先、嫌がる私にそうやってしつこく

にこにことご機嫌で駆け寄ってきてくれる人はいない。

 

2017年から先はもうない。

もっと山に行っておけばよかった。

 

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偶然ですが、9/5の電話で

(9/19に)山へ行く約束をした翌日の9/6から

絵画教室でこの絵を描き始めて

9/20に完成しました。

タイトルは「おじさんとのお別れ」

シンデレラ /ミキハウス  絵/東逸子 より模写

 

スーフィーの言い方では人間を4層の、

1、馬車が肉体(感覚)で

2、馬が感情

3、御車が思考(知性)

4、中に乗った主人を自我

に例えています。

全部がそろって人間だということです。

 

【by なつめ】

 

次回は、

じぶんの太陽がキラキラ輝く魔法の習慣⑭【by なつめ】    『恋愛に必要なのは勇気!?』です。